富山県内の餅店では今年、正月用のお餅が大幅な値上げとなる見通しだ。もち米の仕入れ価格が前年の2倍となる異例の高騰を受け、県内の餅業者は価格改定に踏み切らざるを得ない状況に直面している。

「こういうことはない」前例のない価格高騰


富山県滑川市のせんぼ製菓舗では、職人歴53年の千保一郎さんが熟練の技でつきたての餅を次々と加工している。県餅業組合の会長を務める千保さんは、もち米価格の異常な上昇について「完全にもう2倍になりました」と語る。過去にこうしたことはあったか尋ねると、「いや、こういうことはないですね」と首を振った。

この店では県産の大正もち米を使って丸もちや富山名物の昆布入り切り餅、大福やお赤飯などを製造している。JA全農とやまによると、今年のもち米の概算金は60キロ当たり2万8000円と、前年より1万1000円も高くなっているという。
企業努力の限界 正月餅は1.5倍の価格に

せんぼ製菓舗では12月25日以降、正月用の餅の製造が本格化し、多い日には1日あたりもち米1.4トンを使用する。これまでは材料費や人件費の高騰を企業努力で吸収してきたが、今年は値上げせざるを得ない状況となった。
「作る側からすれば農家の痛みも分かりますし、お客様にやっぱり一番負担をかけたくないという気持ちで、(県内の餅店は)みんなそれぞれ頑張っていますので」と千保さんは語る。
同店では正月用の白のし餅(2キロ)を4200円(前年2800円)で販売する予定だ。豆や昆布入りは300円上乗せとなり、全体として前年比約1.5倍の価格設定となる。
「もち離れ」を懸念する餅業界

千保さんは価格高騰による影響について、「価格が今こんなになって上がると、やっぱりもち離れとかそういうのが起きるんじゃないかって心配しています」と懸念を示す。
「もち、もち米というのは、古来からやはり人生の節目ごとに必ず使われてきた餅文化がありますので、私らは何とかそういうのを継続していきたい」と伝統文化を守る決意を語るとともに、来年の干支にちなんで「来年は午年ですので、雑煮を食べて『うま』かったという年になればなおいいなと思っております」と話した。
消費者にとっては家計への負担が増す一方、日本の伝統食文化を支える生産者も厳しい選択を迫られている正月の餅事情。例年になく高騰するもち米価格の影響は、年末年始の食卓にも及びそうだ。
(富山テレビ放送)
