農林水産省が最近発表した、全国のスーパーで販売されたコメの平均価格は5キロ税込み価格4335円で、2022年の調査開始以降、最高値を更新しました。そこで県内のスーパーや卸売業者を取材したところ、コメの高値が続く理由が見えてきました。


◆小売店が卸売業者に値引き交渉

福井市にあるスーパー「Aコープやしろ店」では、コシヒカリやいちほまれ、ハナエチゼンなど県内産の新米を取り扱っています。
  
新米が出回り始めた9月以降も価格は高止まりしていますが、12月は歳末セールとしてコシヒカリといちほまれの価格を下げています。税込みで、いちほまれは通常5キロ5702円を4730円に、コシヒカリは通常5キロ5270円のところ4622円と、600円から1000円程度安くなっています。
  
この価格が実現できたのは、卸売業者に要望して仕入れ価格を安くできたのが理由だといいます。
  
山上剛副店長は「お客さまに少しでもコメを安く提供したいと思い、卸売業者にも協力してもらい、この値段になっている。こちらから仕入れの値段を提示して受けてもらった」と話します。
   
高止まりが続いているコメの価格。ただ、歳末商戦とはいえ卸売業者が値引き交渉に応じ始めた背景には、コメの在庫に余裕が出てきたのではないかとの見方もあります。

◆JA福井県「コメの回転が悪い」

11月25日の定例会見でJA福井県は、生産者から集めたコメのうち卸業者へ出荷した割合が前年の6割程度にとどまっていることを明らかにしました。松田修昌常務は「11月は17.6%と、新米の販売の進みが近年になく遅い。倉庫に預かったコメの回転が悪く、ずっと倉庫に眠り出庫されない状況が続く」としました。
  
JAによると、卸業者への販売契約は完了していて、最終的に倉庫にコメが余ることはないとしていますが、少なくとも現時点では例年に比べても集荷倉庫にコメが残っていることを意味しています。

◆「それなりの価格で買い付けたので…」

倉庫にコメがあるのは卸売業者も同じようです。
  
県内のある業者が、匿名を条件に福井テレビの取材に応じました。「ウチの倉庫には、かなりの在庫が残っている。ただ、それなりの価格で買い付けたので簡単に安売りすることはできない」と苦悩を口にします。「全国的に騒がれているような1000円、2000円単位での大暴落が起きれば、大赤字になる」と打ち明けました。
  
県内でもコメの高値が続く背景には、高値で買い付けた卸売業者が安売りをしたくないという思惑があるようです。
  
一方、消費者に近いスーパー側は「春先に少し安くなるのかな。今月販売している価格が通常の価格になるのでは」とコメ価格が下がっていくとみています。


また、県内の大手スーパーでコメの買い付けを担当するバイヤーも、福井テレビの取材にこう答えています。

「石川県や新潟県産のコメに値下がりの兆候が見られる。福井県産米も徐々に価格が下がってくるのではないか」
 
依然として続く「令和の米騒動」。値下がりを期待する消費者と、できるだけ高値で売りたい業者。それぞれが納得できる価格に落ち着く日は来るのでしょうか。

福井テレビ
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