自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。




「髪を切って『どう思う?』と聞いてみたところ、夫は『長い方がいいな』とバッサリ…一方、息子は『長い髪も短い髪も似合うよ、ママはいつもかわいいよ』と言ってくれた!嬉しいけど、こんなセリフどこで覚えてくるの?」
「どっちも似合うよ!」は嬉しい褒め言葉だけれど、我が子のちょっとキザ?な言い回しに思わず苦笑。
もしかして、ママが喜ぶ言葉を選んでくれている?そしてこんな言葉、一体どこで覚えてくるの?
育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんに、“大人びた言い回し”をしちゃう子どもゴコロについてお話を聞いた。
――“大人っぽい言い回し”をする子どもたち…これって何歳ごろに覚えるの?
幼稚園あたりから増えてくると思います。今回の例では、男の子の発言ですが、一般的には女の子の方がおませな発言は多い印象があります。女の子の方が、言語習得能力や精神年齢が高い傾向があることもその理由でしょう。
おままごとなどでも、子どもが大人のふりをすることはよく見られます。ぬいぐるみを相手にお世話したり、おもちゃの野菜でお料理したり。子どもは大人がやっていることを自分もやってみたいという“ちょっと背伸びしたい気持ち”があるので、それが言葉という形に出たのが、今回の大人っぽい言い回しと言えます。
今回のような嬉しい言い回しに使われることもあれば、ママがタジタジになるような、言葉尻をつかんで反撃(「さっさと片づけなさい!」「ママだって片づけてないじゃん」のような)という場面で用いられることもあるので、親としてはいい気分にさせてくれるときもあれば、イライラさせられることもあると言えそうです。
――「大人っぽい言い回し」はどこで学んでくる?
周囲の大人から学んでいることが多いと思われます。今回の事例でも、息子さんは、パパがママを上手にほめているのをふだんから見ているのではないでしょうか。ほほえましいですね。
あとはテレビなど、メディアの影響もあると思います。テレビでは、みんなが聞いていて心地いい会話や、だれも傷つけないコミュニケーションが多く含まれています。子どもたちが見るアニメの主人公も、設定では子どもであっても、演じているのは大人の声優さん。昔ながらのアニメ、サザエさんのタラちゃんは永遠の3歳ですが、実際の3歳の子よりはずっと発言が大人びています。そういう場面からの吸収もあるように思います。日々、耳にする言葉から、そのエッセンスを吸収しているのだと思われます。
“大人びた言い回し”をしちゃうのは、子どもたちの「ちょっと背伸びしたい気持ち」の表れ。
子どもたちは、大人がこのような言葉遣いをするのを聞いていて、「こう言うとママが笑っていた!」「パパが嬉しそうだった!」としっかり学び、自分もチャレンジしているのだ。
子どもたちの「盛り上げ意識」はまだまだ先
そんなちょっと背伸びした“大人びた言い回し”、かわいいけれど、同時に「子どもたちが空気を読んでいる?」「喜ばそうとしてくれている?」と不安になってしまうパパママもいるはず。
そんな時、子どもたちに“ホンネ”を聞いてみるのはOK?
――「○○ちゃんはどっちがいい?」「どっちが好き?」とさらに聞いてみてもいい?
もちろんです。幼少時のこのような会話は純粋に楽しんでいいと思いますよ。
心理学的な視点での解説を加えると、相手がどう思うかという「他者の目線」を獲得するのは、実際にはまだ先のことです。なので、これらが、「今、この言葉で盛り上げなくては!」のような気づかいで生まれている言葉とは考えにくいので、その点は気にしなくていいと思います。
むしろ、パパが使っていてママが喜んでいたから使ってみたとか、そういうマネの要素の方が強いと思います。言われたママも、やっぱりうれしいので、「ありがとう♪」とにっこりすることが多いでしょうから、子どももママの喜んでいる顔を見て、嬉しくなってまた言っちゃう、こういうことだと思います。

「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。
・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?


※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。


(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)