東北福祉大学の学生が栃木県の小学校で、命を守るための授業を行いました。あの日の子供たちが伝えたいこととは。
「強い風が吹いたり大雨で道が水でいっぱいになった時は、長靴を履いて避難するといい、〇か×か。正解は…×です」
11月26日、栃木県のさくら市立熟田小学校で行われた防災授業。授業を担当したのは、東北福祉大学で震災後に発足したボランティアサークルや震災語り部に所属する学生です。
東北福祉大学はさくら市と、災害に関する協定を結んでいて、10年以上にわたり防災をテーマに交流を続けています。授業では、実際に震災を経験した学生による語り部も行われました。
東松島市出身・震災当時5歳 阿部花澄さん(20)
「黒くて大きな波が小学校にぶつかってくるのが見えました。まるで巨大な洗濯機の中に町全体がのみ込まれているようでした。5歳の私にはその光景が本当に怖くて、今でも思い出すと胸がぎゅっと苦しくなります」
語り部を行った学生は、東日本大震災当時、まだ、子供でした。あの日から14年8カ月が過ぎ、今は、伝える側になっています。
東松島市出身・震災当時5歳 阿部花澄さん(20)
「想定外も含めて、家族みんなで話し合ってイメージしておくことが大切だということを覚えておいてください」
子供たちは…。
小学5年生
「津波が人の命を奪うというのは知っていたけれど、建物などをそんなに簡単に奪ってしまうものなんだと、想像を超えていて驚いた」
小学6年生
「学んだことを家族に教えてあげたい。3年生に妹がいるので教えてあげたい」
若い世代が伝えることに大人も手応えを感じています。
さくら市立熟田小学校 堀井篤人校長
「私としては皆さんみたいに、若い人が、こういう活動に参加して前向きにやっているというのが、子供たちには減災の教育もそうなんだけど、憧れになってこういう人が増えてくると思うので、皆さんのやっていることは、価値のあることだと思う」
静岡出身 池田美加さん(19)
「防災を自分事として捉えてほしいと思うし、もし自分が災害を経験したらという想像力を高めてほしい」
東松島市出身・震災当時5歳 阿部花澄さん(20)
「想定外のことをイメージして防災活動すること、何よりも本当に伝えたいのは、日常生活を大切に生きてもらうことを伝えたい」
あの日を過去にしないために。命のバトンがつながれています。