菊池郡菊陽町にある台湾の半導体製造大手TSMCの第1工場では使った水の多くをリサイクルすることで、取水量の削減に取り組んでいます。
工場を運営する子会社のJASMが半導体の量産開始後、初めて水処理施設を報道公開しました。
【岡崎 宣彰 記者】
「こちらはJASMの地下にある水処理施設です。巨大なタンクが立ち並び、配水管が張り巡らされています」
11月12日に報道陣に公開された菊陽町にあるTSMC第1工場にある水処理施設です。
TSMCの子会社・JASMは去年12月に第1工場で半導体の量産を開始していて、今回の報道公開は量産開始後、初めてとなります。
半導体の製造には大量の水とエネルギーを使うことから、TSMCは環境への影響を最小化する『グリーンマニュファクチャリング』に取り組んでいるといいます。
菊陽町の第1工場では、1日当たり最大3万トンの水を使いますが、使った水は全て廃棄せず、リサイクルシステムで処理。平均約75パーセントのリサイクル率で、第1工場では新たにくみ上げる地下水の量は1日当たり最大7500トンと、取水量の削減に取り組んでいます。
JASMは「くみ上げた地下水1滴の水を平均4回、繰り返し利用している」と強調します。
また、JASMは田んぼを使った涵養などに取り組んでいて、去年1年間では取水量の100パーセントを超える500万トンの地下水涵養を行ったということです。
【JASM水処理課 可村 雄生太 さん】
「万が一、放流基準を超えるような水が来た場合には、自動弁が閉じて、別の自動弁が開き処理の前段に戻る」
また、排水についても、36種類に分類し、24時間体制で数値を細かく管理しています。
国の基準の半分以下で下水処理場に放流していて、社内の基準を超える排水が流れてきた場合は、自動で感知して再処理を行います。
また、関心が高まる有機フッ素化合物・PFASについても活性炭で吸着させ、「排出量を極微量まで低減している」と強調します。
【JASMファシリティーデパートメントマネージャー 坂本 龍治 さん】
「半導体製造に伴う環境負荷、また環境保全への取り組みについて関心が高まっていると考えている。PFASへの取り組みはできる限り最低へ持っていく活動を今後も継続していく」