介護現場での人手不足が続く中、ユニークな取り組みをしている企業がある。現場で活躍するのは、筋肉隆々な“マッチョ介護士”たちだ。力が必要とされる場面も多い介護現場だが、なぜたくさんのマッチョが集まるのか、その理由を探る。

屈強な筋肉で利用者をサポート

愛知・一宮市の生活介護施設「atto」に現れたのは、屈強な筋肉の男性たち。タンクトップ姿で利用者と触れ合ったり、軽々と抱え上げる。実は彼らは全員、介護士だ。

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知的障害などがある人が通うこの施設では、4人の介護士が、利用者の介助から食事の支度まで、さまざまな業務を担当している。

食事の時間には、太い腕でラーメンの湯切り。車いすを使う利用者の介助場面では、力持ちなマッチョが大活躍している。

なぜマッチョな人材が集まるのか。その理由は、彼らの勤務先のユニークなシステムにあった。

入社3年目のマッチョ介護士、立見北斗さん(28)は次のように語る。

マッチョ介護士・立見北斗さん:
マッチョ介護士として現場で働きながら、筋トレもしています。筋トレも僕らの仕事なので。

勤務時間中に本気の筋トレ

「筋トレも仕事」とはどういうことなのか。立見さんを観察していると、まだ勤務時間中にもかかわらず施設を後にし、車でどこかへ向かっていった。

マッチョ介護士・立見北斗さん:
今はジムに向かっています。僕ら実業団選手はトレーニングすることも勤務時間に含まれていて仕事になる。

運営会社「ビジョナリー」は、介護事業の傍らボディービルの実業団を運営。選手に選ばれた社員は、8時間の勤務のうち2時間を、会社提携のジムでの筋トレに充てることができる。さらに、プロテイン代や試合への参加費用も会社が負担するという。

介護の仕事を終えたばかりの立見さんは、岐阜市内のジムで2時間みっちりと厳しいトレーニングを開始した。

重いダンベルを持ち上げる屈強なマッチョたちも、普段は介護士として働いている。

マッチョ介護士・立見北斗さん:
仕事中なので本気でトレーニングしないと。仕事としてやっている以上は。

彼らが鍛えているのは、自分たちの筋肉だけではない。施設の利用者に対しても、「ナイスマッチョ!背中ききました?」などと声をかけながら、マンツーマンでトレーニング指導を行っている。普段はあまり体を動かそうとしなかった利用者も、トレーニングを始め、明るく活発になったという。

利用者からは「次第に筋肉がついてきた」「私も頑張って力を出してみようと張り切っています。詳しい方がいるとバッチリです。これからは胸筋鍛えなきゃ」といった声が上がっていた。

マッチョ介護士・立見北斗さん:
トレーニングをして僕らと同じように達成感や頑張ることの大切さを感じてくれている表情を見ると、やりがいや喜びを感じます。

介護業界のイメージを変える

施設利用者の満足が自身のやりがいにもつながっていると話す立見さんだが、実は以前は全く別の仕事をしていた。

マッチョ介護士・立見北斗さん:
前職は海上自衛官で、護衛艦に乗っていました。

7年間勤務した後、全く違う介護の世界へ飛び込んだきっかけは、母親の一言だった。

マッチョ介護士・立見北斗さん:
父親が海上自衛官で、母親が介護士をやっていて。母が「今までやった仕事で一番楽しい」と言っていたのです。自分が好きでやっているトレーニングや筋肉が人のためであったり、社会貢献につながることは、やりがいを感じられそうだなと思って。

立見さんは、キツくて大変という介護のイメージを払拭するため、広報の仕事にも積極的に関わっている。

介護業界に新たな風を巻き起こしているマッチョだらけの介護施設。その狙いについて社長に聞いた。

ビジョナリー・丹羽悠介代表:
この業界は人手不足なので、介護の仕事をしている人たちのイメージを変えてやろうと思ったのがきっかけです。

少子高齢化で社会問題化している介護士の人手不足。厚労省によると、2040年度までには約272万人の介護職員が必要となるとされ、現状のままでは約60万人が足りなくなることになる。

そんな中、この会社では2018年、介護にマッチョを呼び込んだことで、わずか数人だった求人への応募が1273人へと急増した。手厚い福利厚生や明るい職場の雰囲気に魅力を感じ、マッチョ以外の人材も多く集まっているという。

介護現場を明るく楽しく盛り上げるマッチョ介護士たち。立見さんが目指す理想の介護士像とはどのようなものなのだろうか。

マッチョ介護士・立見北斗さん:
この人と出会えてよかったと思えるような人間になっていきたい。介護福祉の仕事とボディービルの選手としての両立。もっと自分自身も成長して、筋肉も成長させてトップを目指したい。

立見さんによると、ボディービルだけやっていると、長く続けていけるのか悩む人が多いが、介護の仕事という手に職をつけることで、セカンドキャリアにつながっているという。
(「イット!」7月6日放送より)

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