FNNが22日と23日に実施した世論調査で、発足1カ月となった高市内閣の支持率は75.2%と、依然として高い支持を保った。
調査の詳細を分析する。
◆内閣支持率…支持政党別で変化も
75.2%だった高市内閣の支持率を回答者の支持政党別に10月調査と比較すると、自民党支持層は10月の93.4%から91.9%に微減したが、連立を組んだ日本維新の会の支持層では75.9%から93.9%へと支持が広がった。
さらに、立憲民主党支持層で30.4%から35.4%に、共産党支持層で12.5%から29.1%、国民民主党支持層で86.7%から90.8%、参政党支持層で87.4%から92.4%、自民との連立政権から離脱した公明党の支持層でも42.5%から55%と、いずれも支持が増加した。
所得制限なく子育て世代に子ども1人あたり2万円を「現金給付」することやガソリン税の暫定税率廃止など、政府の総合経済対策に野党の主張を一定程度取り入れたことが影響した可能性がある。
一方、れいわ新選組支持層では71.6%から47.8%に支持が大きく減った。
◆“台湾有事”答弁…6割が問題視せず
台湾有事に際して、日本が集団的自衛権を行使できる可能性もあるとした高市首相の国会答弁への評価を尋ねたところ、「適切だ」と答えた人は22.6%で、「どちらかと言えば適切だ」(38.4%)と合わせて全体では6割を超えた。
一方、「適切ではない」と答えた人は14.2%で、「どちらかと言えば適切ではない」(21.5%)と合わせて全体の3割強だった。
「適切ではない・どちらかと言えば適切ではない」は、立憲支持層で76.9%、共産支持層では95.4%に上り、公明支持層でも54.9%と半数を超えた。
また、回答で最多を占めた「支持政党はない」と答えたいわゆる無党派層では、「どちらかと言えば」を含めた「適切ではない」が44.2%を占めていて、安全保障に関する高市首相の今後の“踏み込み”具合によっては政権支持率を下げる要因になる可能性を感じさせる調査結果となった。
◆日中緊張への懸念分かれる…「心配」多数でも防衛費増額「反対」多数の沖縄
高市総理の国会答弁以降、日中関係が緊張している状況を「心配だ」という人は、「非常に」と「どちらかと言えば」を合わせて49.3%、「心配していない」は、「どちらかと言えば」と「全く」を合わせて49.9%で、意見が二分した。
一方的な現状変更を試みる中国公船の活動が常態化している尖閣諸島や台湾に近い先島諸島を抱える沖縄県に居住している人の回答は、「非常に」と「どちらかと言えば」を合わせた「心配だ」が60.4%に上った。
一方で、防衛力強化のため防衛費増額を急ぐ高市政権の方針に「賛成」と答えた沖縄県居住者は34.9%に留まり、「反対」が65.1%に上った。
◆核兵器「持ち込ませず」見直し…世論二分
高市首相が国会答弁で将来の「堅持」を明言しなかった「非核三原則」(核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」)のうち、「持ち込ませず」の部分を見直すことへの「賛成」は20.7%で、「どちらかと言えば賛成」(25.6%)と合わせて46.3%、「反対」は27.3%で、「どちらかと言えば反対」(22.7%)と合わせて50%と、慎重な意見の方が多い結果となった。
◆ガソリン価格値下がり…6割弱が「実感できず」
ガソリン税の暫定税率廃止に向け、経済産業省は急激な価格変動による混乱を防ぐため11月13日から補助金を積み増し、ガソリンと軽油の価格は理論的には5円安くなっているが、「価格が下がった実感」を尋ねたところ、「実感できている」人は37.2%で、「実感できていない」人が59.4%と多数を占めた。
ただ、地域別で見ると、「実感できている」人の方が多かったのは57%に上った東海ブロックをはじめ東北(48.9%)・北陸信越(49.3%)で、世帯当たりの自家用車普及率が高い地域を中心に“ガソリン値下がり”を実感できているが、“値下がり感”が全国へ広がるにはもう少し時間がかかるのかもしれない。