鹿児島県の塩田知事は11月21日の定例会見で、高市総理の台湾有事を巡る発言以降の日中関係冷え込みが県内観光に影響する可能性を認めた。知事は「(中国人観光客の)減少が生じることはあり得る。その意味では本県の観光への影響は可能性としてはあり得る」と述べ、懸念を示した。

中国人観光客は県内2位の8万5千人

県によると、2024年に鹿児島県を訪れた外国人観光客数は、韓国人が最も多く12万7千人を記録。中国人観光客はそれに次ぐ8万5千人となっており、県内インバウンド観光において重要な位置を占めている。

高市総理の台湾有事に関する発言後、中国政府は日本への渡航を控えるよう自国民に注意喚起を行うなど、日中関係は急速に冷え込んでいる。このような状況が続けば、鹿児島県内の観光産業にも少なからぬ影響が出る可能性がある。

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水産物輸出への影響は「限定的」

一方、中国が日本産水産物の輸入を事実上停止していることについて、塩田知事は県産品の中国への輸出量が元々「大きくない」として、直接的な影響は限定的との見解を示した。

ただし知事は長期的な観点から「アメリカのトランプ関税の影響を懸念していて、(輸出先の)多角化を進めていく、その先として中国も一つの大きな可能性があったと思うので、その意味では残念な結果」と述べ、将来的な輸出拡大の機会が失われる可能性を懸念している。

県内初のイノシシ豚熱対策も言及

会見では、鹿児島県内で初めて野生イノシシから家畜伝染病の豚熱が検出された問題についても言及があった。塩田知事は「観光客や県民にも感染防止に向けての協力の依頼や啓発を行っている。豚熱の養豚場への侵入防止に一丸となって取り組みたい」と述べ、県を挙げての感染防止対策に取り組む決意を示した。

養豚業が盛んな鹿児島県では、豚熱の発生は産業に大きな打撃となる可能性がある。県は観光客や県民への啓発活動を通じて、養豚場への感染拡大を防ぐ対策を強化していく方針だ。

複合的な課題に直面する鹿児島県

日中関係の冷え込みによる観光客減少の可能性、将来的な輸出拡大機会の喪失、さらには豚熱対策など、鹿児島県は複数の課題に同時に対応する必要に迫られている。

特に外国人観光客のうち二番目に多い中国人観光客の減少は、コロナ禍からようやく回復傾向にあった県内観光業界にとって大きな懸念材料となりそうだ。今後の日中関係の推移によっては、県内経済への影響が拡大する可能性もあり、県としても状況を注視しながら対応策を検討していくことになる。

動画で見る:日中関係悪化で観光ピンチ 鹿児島の観光業に影響も

鹿児島テレビ
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