高齢となった入所者に代わって記憶を伝えます。瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園の体験型展示施設、「でんしょう愛生館」が11月21日にオープンしました。
園内に新しく整備された「でんしょう愛生館」。関係者がテープカットをしてオープンを祝いました。
「でんしょう愛生館」は、使わなくなった病棟を改築したもので、企画展などを含め9つの展示で構成しています。伝えること「伝承」をテーマにしていて、ハンセン病の知識だけではなく、自由を奪われた元患者の気持ちを追体験してもらう工夫をしています。
(学芸員)
「ここでは家族に差別が及ぶことを恐れ、偽名を名乗ってもらう」
(長島愛生園 山本典良園長)
「ハンセン病の偏見・差別をなくすこと、病気による偏見・差別、障害者、外国人などもそう。共生社会を目指したい」
ハンセン病は、治療できる感染症となってからも国の誤った隔離政策が続けられ、入所者や家族も偏見や差別を受けてきました。多い時は2000人を超えていた入所者の数は現在67人。平均年齢は89歳を超えました。
当事者から直接伝えることが難しくなる中、「でんしょう愛生館」はハンセン病問題を「自分ごと」として捉えてもらうための役割を担います。
(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)
「ここ(オープン)までこられてうれしい。語り部も少なくなったので、目で見てハンセン病を分かってほしい」
でんしょう愛生館は、月曜日の休館日を除き、午前9時半から午後4時まで見学できます。