クマによる被害が相次ぐ中、岩手県は新たな対策のための補正予算案を発表しました。
箱わなの設置や、吹き矢で麻酔を打てる人材の育成などを行うための費用3700万円が盛り込まれています。
2025年度に県内でクマに襲われ体に被害を受けた人の数は、11月16日までに37人に上っていて、このうち死者は5人に達しています。
こうした深刻な事態を受け県は、2025年度の県内の捕獲上限数を当初の796頭から200頭を目安に増やすことにしています。
県は17日、クマの捕獲体制を強化するための関連費用3700万円を盛り込んだ補正予算案を発表しました。
具体的には、捕獲のための箱わな50台を購入するほか、吹き矢での麻酔を打てる人材の育成、それに市町村に専門家を派遣するための費用が盛り込まれています。
達増知事
「1000頭規模の捕獲を行おうという時に、箱わなが非常に重要であるので、市町村の要望に応えつつ、箱わなが足りなくて手が回らないようなことがないようにしていきたい」
また、政府は14日(金)、これまで「保護」に置いてきた軸足を「駆除」に転換するクマ対策のパッケージを新たに決定しました。
対策は3つの段階でまとめられ、緊急的な対応では自衛隊や警察のOBなどに駆除の協力を要請します。
短期的な取り組みでは狩猟免許を持つ自治体職員、いわゆる「ガバメントハンター」の人件費を支援するなど捕獲を強化し、個体数を減らします。
中期的には保護区を設置し、人の生活圏とのすみ分けなどに取り組みます。
この政府のパッケージについて、達増知事は17日、「国の方針に合わせ、県の基本方針も変えるべきところは変え、より効果的な対策をできるようにしたい」と述べました。