県民のために日夜活動し優れた功績をあげた消防士を表彰する「県民の消防士」。今年度は嶺北消防本部の竹川忠治消防司令が選ばれました。救急救命士として数多くの人命救助に携わった竹川さんの活動を振り返ります。
 
嶺北消防本部の竹川忠治消防司令は、救急救命士として27年間、的確な判断と行動力で多くの人命救助に貢献したことが評価され、今年の県民の消防士に選ばれました。
  
救急救命士は、医師の判断のもと点滴などの医療行為を行います。傷病者を最初に手当てする立場として、竹川さんは常に「傷病者に寄り添う」ことを心掛けています。
  
「傷病者に自分の名前を伝え、目線を合わせながら話しかけ、自分たちが来たから大丈夫ですよ、と伝えている」と竹川さん。

数々の現場を経験した竹川さんの記憶に強く残るのは、2016年1月にあわら市で起こった観光バスの横転事故です。
 
猛烈な吹雪に襲われた大型バスが田んぼに転落し、乗客・乗務員合わせて28人が閉じ込められました。
 
現場の指揮を執った竹川さんは、隊員から次々と上がってくる被害報告と現状の医療体制を比較し「トリアージ」を行う決断をしました。
 
トリアージとは、治療や搬送の優先順位を決めること。より多くの命を救うため、時には助かる見込みの低い傷病者の治療を後回しにするなど苦渋の選択を迫られることもあります。
 
気温はマイナス2度、命の危険と隣り合わせの事故現場で一刻も早い判断が求められる中、竹川さんも自ら乗客を探し一人一人の状態を観察していきました。
 
「傷病者に最初に接触したときに寒さに震えながら、ここから助けてほしいと言う声を聞いたとき、緊張のスイッチが入った」(竹川さん)
 
竹川さん以下、救急隊の迅速な対応が功を奏し、重症者を出すことなく乗客は全員救出されました。

いつ起こるか分からない災害のために、竹川さんは指導救急救命士として後輩を育てています。「私たちは人の命と向き合う仕事をしているということを忘れず、日々努力を重ねる、というのが私のモットー」
  
同僚や後輩は「自然と人が集まってきて、近くにいるだけで元気がもらえる」「熱意を持って指導し、最後までとことん付き合ってくれる」と語ります。
  
竹川さんの命と誠実に向き合う姿勢は、日々の指導を通して後輩たちにも受け継がれています。
  
県民の消防士の表彰は17日に福井テレビで行われます。

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