ガソリン税に上乗せされている暫定税率を12月末で廃止することで与野党6党が正式合意してから1週間。政府は、13日からガソリン価格を抑える補助金を1リットル当たり5円増やして15円としました。今後、補助金は2週間ごとに引き上げられ、旧暫定税率分と同じ25.1円となります。
ガソリンの暫定税率廃止に向けて補助金の増額が始まった13日、私たちが購入するガソリンの価格に変化はあるのか、県内のガソリンスタンドを取材しました。
政府は13日から、石油元売企業への補助金を1リットル当たり5円増やして15円としました。今後、この補助金は2週間ごとに約5円ずつ増えていき、12月11日には暫定税率分と同じ25.1円となります。
この動きに合わせてガソリン価格が引き下げられ、年末には暫定税率そのものがなくなります。
このガソリン価格の引き下げについて県民に聞きました。
「やっぱり助かる。いつも車で通勤しているので、通勤代が全然違う。直近の生活には役立っていてありがたい」
「きょうガソリンを入れたが、あまり変わっていないと思う。2、3円くらいは下がったのかな」
多くのガソリンスタンドでは補助金が増額する前の在庫が残っているため、店頭価格への反映には、ある程度時間がかかるといいます。
こうした中、一足先に値下げするところも。
吉田圭吾アナウンサー:
「こちらは、越前市内のフルサービスのガソリンスタンドです。きょうのレギュラーガソリンの販売価格は1リットル当たり173円です。これはきのうに比べて5円下げているということです」
越前市にある林石油店では、これまでの値上げに理解を示してくれた地元のお客さんへの感謝を込めて、いち早く値下げに踏み切りました。
林さんは「いろんな需要喚起として有難い。少しでも財布が緩んでくれると嬉しい。いっぺんに下がるわけではいが12月末に25円分下がったなと思ってもらえれば」と話します。
経済産業省が12日に発表した10日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は173円50銭。原油相場が大きく動かなければ、4年ぶりに160円前後まで価格が下落する見込みです。
ただ、ガソリンの値下げはドライバーにはありがたくても、ガソリンスタンドにとっては利益の減少や行き過ぎた価格競争につながる不安もあるといいます。「国道沿いのガソリンスタンドはし烈な価格競争だが、田舎のガソリンスタンドは価格だけでは経営が成り立たない。インフラとして地域の拠点になることを考えている」(林さん)
林石油では、地元の高齢者世帯に灯油の配送サービスを行ったり、店内で防災グッズを販売したりと、住民の生活インフラとしての役割も担っていて「(価格だけではない)ガソリンスタンドの使命をもう一度考えないとならない。客が今一番欲しいものをタイムリーに配達、供給できるのが私たちの役目」と話しています。
一方、大型トラックなどの燃料となる軽油の暫定税率も来年4月に廃止されます。軽油の政府補助金は13日から15円、11月27日には税率分に相当する17.1円へと拡充します。
福井市内の北陸トラック運送・上口貴広専務は「会社としては全体で年間500万リットルぐらい軽油の消費量がある。年間3500万円ほどの経費削減につながることは事実」と話します。
しかし、暫定税率の廃止が思わぬ事態を引き起こしていました。「それだけ燃料下がるならもう少し安くできるんじゃないの、と詰め寄られてしまっているところで、非常に対応に苦慮している」と上口専務。
取引先の荷主から、運送料の値引きの問い合わせが殺到しているというのです。
物流業界では、車両やタイヤの価格の上昇、最低賃金引き上げによる人件費の増加といった負担も重くのしかかっています。暫定税率廃止を手放しでは喜べない問題がありました。