高市首相は衆院で5日に行われた代表質問で、国民民主党の玉木代表から任期中に増税は行わないかを問われ、「税率を上げずとも税収を増加させることを目指していく」と強調した上で、「責任ある積極財政の考え方のもと、こうした取り組みを進める中で今後の状況をしっかりと見極めながら検討していくべきものと考えている」と答弁した。
玉木代表は質問の中で、高市首相が掲げる責任ある積極財政について取り上げ、「国民民主党は、経済が成長すれば増税しなくても税収を増やすことは可能だと考える。その意味で高市総理が述べた『税率を上げずとも税収を増加させることを目指す』考えには賛成だ。任期中、増税はしないという方針で間違いないか」と尋ねた。
これに対し高市首相は「この内閣においては責任ある積極財政の考え方のもと、戦略的に財政出動を行い強い経済を構築し、経済成長率を高めるとともに、中期的に債務残高対GDP費の引き下げを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度についても再確認を行うことによって、強い経済の実現と財政健全化を両立していく」と述べた。
その上で「こうした道筋を通じて、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信任を確保していく」との方針を示し、AI、半導体などの戦略分野において投資を促進する意向を強調した。
そして、「これにより所得を増やし、商品マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収を増加させることを目指していく。お尋ねの具体的方針については、責任ある積極財政の考え方のもと、こうした取り組みを進める中で、今後の状況をしっかりと見極めながら、検討していくべきものと考えている」と述べ、任期中に増税を行わないかについては明言を避けた。
また玉木代表は、いわゆる年収103万円の壁と呼ばれてきた所得税の控除枠拡大について、年収に関わらない一律引き上げを求めるとともに、「基礎控除をインフレだけではなく最低賃金の上昇に連動させる必要がある」と指摘して、首相の考えを質した。
これに対し高市首相は「所得税の課題については国民民主党、公明党、自民党の三党の幹事長間で結んだ公党間の約束である三党合意も踏まえつつ、本年末までの令和8年度税制改正プロセスにおいて、基礎控除を物価に連動した形でさらに引き上げる税制措置の具体化を図ることとしている。与党税制調査会の議論などを踏まえながら、具体化を図っていく」と述べるにとどめ、控除額の賃金との連動には否定的な考えを示した。