魚津市の黒崎宇伸さん、グリニッジ天文台主催コンテストで準優勝

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富山県魚津市の黒崎宇伸さん(57)が、世界最高峰の天体写真コンテストで日本人初となる部門準優勝を果たした。イギリスグリニッジ天文台が主催するこのコンテストには、世界68カ国から5880枚を超える過去最多の応募があった中での快挙である。

「観覧車の作品を1つのモチーフとして四季折々撮影してきた。その観覧車の作品が準優勝に輝いたってことはこれまで撮り続けてきて良かった」と黒崎さんは喜びを語る。

バイク事故から写真の道へ、地元の魅力再発見

90年以上続く銭湯の三代目である黒崎さんは、若い頃は富山を飛び出しダイビングのインストラクターとして世界中を旅していた。

しかし、父親の跡を継ぐために故郷へUターン。その後、バイク事故で右足に大けがを負い、リハビリのために近所を歩いて撮影を始めたことが写真との出会いとなった。

「地球上に富山…魚津っていうのはこういう場所なんだよって地球の中心で流れ世界中の人に見てもらえるっていうのが非常にうれしい」と黒崎さんは地元の魅力を世界に発信できる喜びを語る。

『Rotation』—星と観覧車の回転が織りなす人生の物語

受賞作品『Rotation』は、地元のシンボル・ミラージュランドの観覧車と星空を組み合わせた作品だ。去年10月、夜7時半過ぎから約2時間、夜空を連写した画像180枚をつなぎ合わせて制作した。

「観覧車の軸の中心の部分と北極星が重なるようにイメージして作品を制作した」と黒崎さんは説明する。約1時間半の星の動きが円を描き、観覧車と重なり合う様子が見事に捉えられている。

この作品には深い意味が込められている。

「観覧車が動いてる、その背後で星が動いてる。それを自分の人生に置き換えて良いことも悪いこともあってもまた元の場所に戻ってくる。悪いことばかりあってもまた良いこともある。だからくよくよしてないで空を見上げてればきれいな景色が見れる」

世界が認めた富山の風景、さらなる受賞作も

黒崎さんの功績はそれだけではない。同じ「人と宇宙」部門で、もう一作品『φ(ファイ)』も入選を果たした。滑川漁港の灯台上に現れた月の暈と、その中心を貫く飛行機雲を捉えた一枚で、銭湯の掃除を終えた後、夜中の3時半頃に撮影されたものだ。

受賞を受けて、ロンドンからは取材班が来日。黒崎さんの作品制作プロセスを約3分のミニドキュメントにまとめ、レセプションパーティーで披露された。取材を受けたのは受賞者のうち世界で3人のみで、黒崎さんはアジア人初の選出となった。

現在、黒崎さんの作品はロンドンの国立海事博物館で1年間展示されており、制作ドキュメントは年内に天文台のYouTubeで公開予定だ。今後も黒崎さんは風景や人など、地元ならではの写真を撮り続けていくという。

(富山テレビ放送)

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