大分県大分市のバス会社が10月SNSに投稿した動画が話題になっていて総再生回数は72万回を超える。
こうした動画を投稿するねらいなどを取材した。
総再生回数72万回超 運転士による「チャレンジ動画」
ーー動画の音声
「この雑巾、運転席からは見えません。ミラーにも映らない。頼れるのは感覚だけ」
動画は地面に置かれた布を目指してバスがやってくるところから始まる。
「左の前輪を布の真上でピッタリ止められるか」というチャレンジだ。
入社2年目の運転士が挑戦すると…
ーー動画の音声
「ブブー!」
通り過ぎてしまった。

続いて、バスの運転歴20年以上のベテラン運転士は…。
見事に成功!
総再生回数が70万回を超えるこのチャンレンジ動画を投稿したのは、路線バスや観光バスを運行する大分市の大分交通である。

きっかけはコロナ禍や運転士の人手不足
動画を撮影・編集した大分交通鈴木龍也さんは投稿を始めたきっかけについて「コロナ禍で(バスの)需要がかなり減ってきてそれに伴って運転手も減少した。何とかしなきゃいけないと始めた)」と話した。
大分交通のバスの運転士は2018年にはおよそ160人いたがコロナ禍で3年ほど運転士の新規採用が出来なかったことや、定年退職によりこの7年で3割近く減った。
人手不足が進むなか、バス業界に興味を持ってもらえればと大分交通では2年前からSNSに動画の投稿をしている。
動画は約280本あり一番再生回数が多いものは72万回に上っている。

ベテラン運転士に動画の実演をしてもらった
冒頭に紹介したチャレンジ動画を運転士歴13年の安部哲也さんに実演してもらった。
勢いよくバスがスタート。
運転席からは左の前方に地面に置かれた布が見えている。
そのまま前進し布がバスの死角に隠れて見えなくなったところで…安部さんがブレーキ。
果たして…成功したのかどうなのか…?
布の真上にタイヤがピタリと止まっていた。

運転士「技術が向上するにつれて優しい余裕をもった運転が出来る」
全長約11メートル、幅約2.5メートルもあるバスをまるで手足のように扱う驚きの運転技術を見せてくれた。
このほか、置かれたコーンのすれすれを曲がれるか挑戦すると…見事に成功した。
実演をしてくれた運転士歴13年の安部さんは「車輪の軸の位置とかすべて意識して(運転している)。技術が向上するにつれて優しい余裕をもった運転が出来る。そうするとお客様の乗り心地もよくなってサービス向上に繋がる」と述べた。

動画きっかけの採用が増
大分交通ではこの2年で県の内外から約30人を採用したがそのうち6割がSNSの動画がきっかけだった。
大分交通ではこのほかにもバスの運転を体験するイベントをLINEで随時募集し気軽に申し込めるようにしていて好評だという。

