県内でクマの被害が相次いでいることを受け、岩手県は10月30日に自治体の担当者や専門家を集めた緊急の会議を開きました。
この中では専門家が県民に自分の身を守るための行動を呼びかけました。
30日の会議には県や市町村の担当者、専門家など約50人が出席し、県から2025年度のクマによる人身被害の状況が報告されました。
それによりますと、県内では2025年度クマによる死者が疑い事例も含めると北上市・雫石町・一関市で合わせて5人に上っていて、1984年の統計開始以降過去最多となっています。
被害が相次いでいる背景について岩手大学の山内貴義准教授は、ここ数年でクマの生息数が増えて行動も大胆になっている可能性があると指摘。
やぶの刈払いなど人里にクマを近づけない対策を徹底することや、人に危害を加えた個体の動きをたどれるよう体毛を採取して詳しく調査することが必要と述べたほか、積極的な捕獲にかじを切ることも視野に入れるべきと指摘しました。
そのうえで県民に命を守る行動を呼び掛けました。
岩手大学 山内貴義准教授
「警察や市町村が出す出没情報をこまめにチェックしていただき、自分の近くで危険がある場合はなるべく出歩かない。クマが飛びかかってきた場合は命を守る行動をとる」
県は今後、市町村ごとに配分しているクマの捕獲枠の追加について検討するということです。
また政府は30日、クマ対策のための初の関係閣僚会議を開き、市街地でも発砲できる「緊急銃猟」を行えるハンターを増やす方針を確認しました。