安倍元総理が銃撃され、殺害された事件の3回目の裁判。
きょう=30日は被告を取り押さえた警察官と司法解剖をした医師が証言台に立ち当時の様子を説明しました。
3年前、参院選の応援演説中だった安倍元総理を手製の銃で殺害した罪などに問われている山上徹也被告(45)は、30日も黒の上着に眼鏡をかけて法廷に入りました。
■山上被告を取り押さえた警察官「『当たったか』という言葉を発していた」
30日の裁判には、検察側の証人として事件当時、山上被告を取り押さえた警察官が出廷しました。
【山上被告を取り押さえた警察官】「『ドン』という音が聞こえました。被害者(安倍元総理)にバズーカのようなものを向けて、2発目を発砲するのを見た。被告人を押さえようと、下半身に覆いかぶさった」
さらに山上被告を取り押さえた後について…
【山上被告を取り押さえた警察官】「身柄を取り押さえた時に被告が『当たったか』という言葉を発していた」
【検察側】「それはどういう意味だと思いますか?」
【山上被告を取り押さえた警察官】「バズーカのようなものから何かが発射され、被害者に当たったかを確認していると思った」
このように、当時の緊迫した様子を詳細に語りました。
■司法解剖した医師「銃撃直後、ほぼ即死に近い状態だったと推察される」
続いて、安倍元総理を司法解剖した医師も証言台に立ちました。
【安倍元総理を司法解剖した医師】「被弾時に多量の出血があったと考えられる。銃弾は動脈から損傷したことによる失血死。上腕骨にめり込むほどの威力。命中すれば危険な威力だったと言える」
さらに医師は「銃撃直後、ほぼ即死に近い状態だったと推察される」と証言。
また、散弾銃の弾の衝撃で「安倍元総理の議員バッジが粉砕されその衝撃で胸の打撲が起きたと考えられる」ことが明らかになりました。
■山上被告 安倍元総理の左腕に銃弾入り込んだ写真を“じっと見る”
その後、安倍元総理の左腕に銃弾が入り込んだ部分が写真で写し出されると、山上被告はそれをじっと見ていました。
「すべて事実」と話し銃刀法違反を除いて起訴内容を認めている山上被告。
こうした証言は最大の争点である「刑の重さ」にどう影響するのでしょうか。
■菊地弁護士「事件の凄惨さを裁判員に伝えて刑の重さに影響与える狙い」指摘
きょう=30日は検察側の証人として、取り押さえた警察官と司法解剖をした医師が法廷に立ちました。
菊地幸夫弁護士は「裁判員にこの事件がいかに凄惨なものだったのかを印象付けて、刑の重さに影響を与えようという狙いがあった」と指摘します。
【菊地幸夫弁護士】「裁判員の方に、この事件がどれだけ凄惨だったのか、どれだけ衝撃を持った事件だったのかっていうのをリアルに、臨場感を持って、警察官と医師の方の口から伝えるというのが目的だったんだろうと思います。
弁護側は宗教的な背景で、“同情を買おう”とする。それに対して検察側は“想像以上にこれは凄惨な事件なんですよ”ということを印象づけて、量刑(刑の重さ)に影響を与えようというところだと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2025年10月30日放送)