環境省は10月30日、中間貯蔵施設に関する業務など、放射線測定を必要とする業務の一部で使用されていた測定器について、機器が正常な測定ができているかどうかを確認する「校正」作業が不適正に行われていたと公表した。
不適正な校正が行われていたのは千代田テクノルの放射線測定器等で、環境省によると空間線量率を測定する「サーベイメータ」や、作業員の被ばく線量を把握するための「積算型個人被ばく線量計」など。中間貯蔵施設の関連業務や、除染で出た土の輸送業務など、計24の業務で測定器が用いられていた。
環境省は不適切行為が行われた機器を回収し、適正な機器で測定を実施しているという。
千代田テクノルは10月30日に当該の事案について状況を公表。福島営業所において、担当者が2022年9月1日から2025年9月30日にわたり、放射線測定器等の校正を担当部門に依頼しなかったにもかかわらず、自ら校正証明書及び校正シールを偽造し、顧客に納品・請求を行ったとしている。当該の担当者の上司が不審な受注処理に気づいたことが発端となって不適正な行為が発覚したという。
この事案をめぐっては、福島県と東京電力も同様の被害があったと公表している。
福島県は、大気中の放射能濃度の測定に使用した機器について、自主的に年1回行う性能試験の成績書が偽造されていたと公表。その後の確認で測定結果への影響はないことが分かっているという。
東京電力は、作業員の被ばく管理に使用しているAPD(警報付きの個人電子線量計)199台に偽造証明書が提出されていたと公表。故障したものを除いて再校正試験を実施したところ基準を満たしていることが確認できたうえ、作業員の線量記録には別の線量計を使用しているなどとして、被ばく管理への影響はないとしている。