30日に行われた米中首脳会談。
トランプ大統領は「10点満点中12点だ」と話していますが、どちらが優位に進めていたのか見ていきます。
日米首脳会談とは一転、ピリピリムードの中で行われた会談。
会議の前の記念撮影の場面では、トランプ大統領が現れた十数秒後に習近平国家主席が登場しました。
笑顔で出迎えましたが、その後、2人とも表情を変えず、硬い表情のようにも見えます。
さらに記念撮影が終わって2人が会談に向かう際、取材陣がそのまま会談が行われる部屋に移動しようとしたところ、「ノー!ノー!ノー!ストップ!ストップ!」と取材陣を関係者が止めている場面もあり、回りもピリピリしている様子が伝わってきました。
この習近平国家主席について、フジテレビ・中本智代子解説副委員長は「習主席はいつにも増してポーカーフェイスで表情が読み取れないがトランプ大統領に隙を見せないぞという強い意思を持っているように見えた」と話しています。
青井実キャスター:
柳澤さん、先日の日米首脳会談を見ているだけに、ちょっとピリピリしているなという感じですね。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
トランプ大統領はできるだけ愛想よく対応したいと思っているけど、習近平国家主席はそっけなくそれをかわしている感じで、どちらが攻めてどっちが守っているかというと、中国側の方が一枚上手という印象を持たざるを得ないですね。
こうした中で行われた米中首脳会談ですが、どんなやり取りが行われたのか見ていきます。
アメリカは合成麻薬フェンタニルがアメリカに流入しているとして、その対応強化をしないと関税をさらに引き上げるとしています。
そしてこれに加えて、中国のレアアースの輸出規制について、100%追加関税を課すとしていました。
これに対して中国は、フェンタニルの対応強化、そしてレアアースの輸出規制は1年間見送るという応戦をしてきたわけです。
その結果、トランプ大統領の発表によると、「フェンタニルの流入の対応強化」で中国に課している20%の追加関税のうち10%を引き下げるとアメリカ側が妥協した形です。
そして「レアアースの輸出規制導入の1年間見送り」で100%の追加関税も見送りました。
これ以外にも、アメリカが問題視していた「アメリカ産大豆の輸入の拡大」でも合意をしたとみられています。
青井実キャスター:
このディールをどうみますか?
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
明らかに中国の勝ちですよね。このレアアースについていうと、市場に出ているレアアースの70%近くは中国なんです。アメリカにとってみればどうにもならない部分なんです。だから中国はレアアースというオールマイティーのカードを持っている。これをどう使うかによってアメリカ側の対応を引き出すということですので、これは先送りですよね。1年先どうなるかまだ分からないと思います。
中国側の思惑について、北京支局の垣田友彦支局長に聞くと「(日中関係筋によると)米中は互いにエスカレーションと妥協を繰り返してきていて、今は妥協のフェーズにある。レアアース輸入規制1年先送りは問題の先送り。中国が今のところ貿易交渉は有利に進めているんじゃないか」との見方でした。
青井実キャスター:
柳澤さん、レアアース1年間といいますが、また戻っちゃうかもしれませんし。
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
中国以外に調達しようとしても、そう簡単に代わる調達先が見つからないんですよ。いつまでたってもこの構図は変わらない。中国側がカードを持ったままアメリカを揺さぶるという流れは変わっていかないと思います。
青井実キャスター:
そんな中、31日に日中首脳会談も行われるわけですが、その辺りの注目点はどうですか、何か影響するんでしょうか?
SPキャスター・柳澤秀夫氏:
習近平国家主席は高市総理に対しては就任の時に祝電を贈ってないんですよね。ですから、中国側にしてみれば日本側がどう出てくるか、最初の出方を虎視眈々とみていると思うんです。それによってどう対応するかってこと。だから高市総理もそれを考えていると思うので、これも最初のタイミングでどういうやりとりがあるか。