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プレスリリース配信元:認定NPO法人フローレンス

~地域の支援を阻む壁とは。支援を求めるも、つながれなかった親子の存在が明らかに~

認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区、代表理事:赤坂緑)は、2025年9月26日(金)~10月6日(月)の期間に、フローレンスが運営するSNSを活用した相談支援『おやこよりそいチャット』の利用者(全国のひとり親、離婚前・別居中の実質ひとり親、心の不調がある家庭など)を対象としたアンケートを実施しました(回答数:97件)。
SNSを活用した相談支援を続ける中で、行政窓口や地域の支援サービスなど従来の支援体制ではサポートがしきれない“支援のはざま”におかれた親子がいることがわかりました。



今回の調査では、【オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン】期間である11月を目前に、ひとり親、障害や疾病、厳しい経済状況など、多様あるいは複合的な困難を抱えているにもかかわらず、地域支援につながっていない/支援利用を諦めた親子がいることを明らかにするとともに、その背景や実態の深堀りをしました。
<調査結果ポイント>
1.「行政窓口・地域支援の利用を諦めたことがある」の回答者は全体の72%
2.諦めた理由は、「地域・制度の障壁」(44%)、「時間的な障壁」(37%)が多く物理的に越えがたい困難があった
3.「収入の見込みがない」など経済的困窮度が極めて高い家庭が12世帯いたが、そのうち「現在、地域支援を利用していない」は8世帯、「行政窓口・地域支援の利用を諦めたことがある」は10世帯で、困窮度が高くても支援へのアクセス状況は低かった

フローレンスは、SNSを活用した利用ハードルの低いデジタル支援を通して、セーフティーネット機能を強化し、誰も取り残さない社会を目指します。
※調査結果資料はこちらからダウンロード可能です。


調査概要

調査方法:インターネット上での回答
調査期間:2025年9月26日(金)~2025年10月6日(月)
対象者:『おやこよりそいチャット』に登録する、ひとり親、離婚前・別居中の実質ひとり親、心の不調がある家庭、外国ルーツの世帯などの子育て世帯
回答数:97件


調査結果のサマリ

<回答者の属性と経済状況について>
アンケート全体の回答者のうち、「ひとり親」が82%、「障害や疾病がある」が40%。「経済的に厳しい世帯」は66%でした。身体的、精神的、経済的など多様あるいは複合的な困難を抱えている世帯がいることが示唆されました。※属性・経済状況の詳細はこちら


1.支援の利用状況
◆【地域の支援へのアクセス】
「現在、日常的に行政窓口への相談や、地域の支援サービスを利用していますか?」と尋ねたところ、「利用していない」が47%でした。また「これまでに、行政窓口もしくは地域の支援サービスの利用を諦めたことはありますか?」と尋ねたところ、「諦めたことがある」が72%であり、高い割合で断念した経験があることがわかりました。




◆【地域の支援利用を諦めた背景】
「諦めたことがある」と回答した72%(70世帯)のうち、どのような理由で諦めたかという問いでは、「利用したいが、地域で希望する支援サービスがない」(44%、31世帯)が最多で、「手続き可能な時間帯に窓口に出向くことができない」(37%、26世帯)という回答が続きました。




<まとめ>
回答者のうち、72%が行政窓口・地域支援の利用を諦めた経験があることから、支援が必要だったにもかかわらず、つながれなかった親子が多くいることが明らかになりました。その理由としては、「地域や制度の障壁」「時間的な障壁」といった越えがたい困難があったことが示されています。また「自身または家族に外出困難な障害・疾病がある」も多く、相談者が支援場所まで出向く体制では、地域の支援にたどり着けない障壁があることも伺えます。










2.経済的困窮度が極めて高い家庭
今回のアンケートで、経済状況に関する3つの設問に対し「1.直近1ヶ月の間に、経済的な理由で食事を抜いたまたは満足に食べられないことがあった」、「2.直近3か月の間に経済的な理由で、家賃・水道光熱費が支払えないことがあった」、「3.来月、収入が得られる見込みがない」のすべてに該当する危機的状況の家庭が12世帯存在することが明らかになりました。

そのうち、「現在、日常的に行政窓口への相談や、地域の支援サービスを利用していない」8世帯、「行政窓口もしくは地域の支援サービスの利用を諦めたことがある」10世帯であり、困窮度が高くても支援へのアクセス状況は低いままでした。

支援利用を諦めた理由は、「自身または家族に外出困難な障害・疾病がある」(7世帯・最多)、「利用したいが、希望する支援サービスの情報が得られない(調べても出てこない)」(5世帯)、「利用したいが、地域で希望する支援サービスがない」(5世帯)が多い結果となりました。

<まとめ>
この結果から、経済的困窮度が極めて高い家庭において
●自身または家族に障害・疾病がある
●収入の見込みがなく、家賃・水道光熱費などが払えない・食事を制限するほどの困窮状態にある
●支援を希望するが、障害・疾病を理由に外出ができない/情報にリーチできない/希望する支援がない
といった多重苦を抱えた家庭の実態が浮かび上がり、苦境から容易に抜け出すことが難しい現状があることが伺えます。


困窮家庭と深まる孤独・孤立

アンケート結果・利用者の声から、既存の支援制度の網の目からこぼれ落ち、孤独・孤立を深めている親子の実態が浮き彫りになりました。物理的な障壁によって支援へのアクセスを諦めざるを得ない背景があり、こどもの健やかな育ちを脅かすリスクの高い状況を生み出しています。

また孤独感に関する設問では、回答者の98%が『おやこよりそいチャット』利用前に孤独感を感じており、62%が現在も気軽に相談できる相手・場所が「いない」と回答。相談しない理由は、「困っているがどのように相談したらいいかわからない」(67%、40人)が最多でした。




これは、単なる経済的困窮に留まらず、疾病や障害、子育ての悩みなどが複雑に絡み合い、深刻化しているため、「誰になにを伝えたら良いのかわからない」という説明が困難な状況に追い込まれていることを示唆します。このような多様または複合的な困難を抱える家庭が、孤独感を感じながら社会とのつながりも希薄な状況にあることが推測されます。


今後の展望:孤独・孤立を防ぐデジタル・アウトリーチ

『おやこよりそいチャット』は、心理的なハードルが低い「チャット形式・非対面・匿名性」を併せもつSNS相談です。専門の相談員が傾聴し、複雑な状況を抱え「相談の切り出し方がわからない」という課題を持つ層に対し、一緒に課題を整理しながら必要な公的支援につなげる取り組みを行っています。
本サービス利用後の気持ちの変化として、アンケート回答者の58%が「孤独感が緩和できた」「社会とのつながりが感じられるようになった」などポジティブな変化があったと回答しました。

今回の調査結果を踏まえ、今後も困りごとを抱えた利用者に伴走しながら、必要な情報へのアクセスを保障するアウトリーチ支援、そして地域で孤立させないための親子のセーフティネットの機能を強化し、誰も取り残さない社会を目指していきます。

おやこよりそいチャットとは

専門の相談員(社会福祉士などの有資格者)による、SNSを活用した相談支援。子育て家庭を対象に、相談や情報提供、行政支援への連携などを行い、必要に応じて対面での相談支援にも対応します。
ひとり親、離婚前・別居中の実質ひとり親、心の不調がある家庭など困りごとを抱えた子育て家庭を対象に、全国約540世帯(2025年3月現在)が登録しています。


調査結果資料ダウンロード

調査結果全文(詳細なデータ・グラフ)は下記より無償提供しています。
ダウンロードはこちら

※ご利用の際は出典「認定NPO法人フローレンス」を明記のうえ、取材申込フォームから用途をご連絡ください。

<取材申込みフォーム>https://florence.or.jp/publicform


認定NPO法人フローレンスについて


こどもたちのために、日本を変える。フローレンスは日本のこども・子育て領域に関わる課題解決と価値創造に取り組む、国内最大規模の認定NPO法人です。





日本初の共済型・訪問型病児保育事業で2004年に設立し、こどもの虐待、こどもの貧困、障害児家庭の支援不足、親子の孤立の課題を解決するため、多様な保育事業を運営するほか、全国で「こども宅食」「おやこよりそいチャット」「にんしん相談」「赤ちゃん縁組」などの福祉事業と支援活動、政策提言をおこなっています。

▶フローレンスコーポレートサイトURL: https://florence.or.jp/



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