【三次市職員】
「行政代執行を実施し当該建物の店舗・居宅及び敷地内残置物の撤去などの工事に着手します」
空き家の“行政代執行”倒壊の恐れがある危険な状態の空き家を行政が強制撤去に踏み切ることです。
総務省の調査で全国の空き家の数は初めて900万戸を突破し過去最多に。
深刻化する空き家問題、その実態に迫ります。
<スタジオ>
特集はシリーズ「老いゆく社会」きょうは空き家の問題について取り上げます。
まずはこちらのグラフをご覧ください。
こちらは広島県内の空き家の数を示したグラフです。
賃貸用で一時的に空いている部屋なども含まれますが、2023年末時点で23万1400戸となり県内でも過去最多を更新しました。
中でも注目すべきはこちらの11万4700戸という数字で、これは使用目的のない空き家の数を示しています。
今、こうした空き家の対策が課題となっています。
家財道具を運びだす作業員たち。
屋根は剥がれ外壁の一部もすでに崩れ落ちています…今月22日から三次市で始まった空き家の特別措置法に基づく強制解体工事、いわゆる「行政代執行」です。
【2015年のニュース・田中浩樹記者】
「小型の重機が住宅街に入ってきました。これから空き家となった住宅の撤去作業が行われます」
2015年、国は所有者が適切に管理せず、倒壊のおそれがある建物について、行政が強制的に解体できる法律を施行。
県内でもその年、三原市で初めて強制撤去が行われました。
さらに、2023年には周辺環境への悪影響が懸念される「特定空き家」の増加を抑制するために、行政が指導・勧告できるように改正されました。
三次市が強制撤去を実施したのは今回が初めて。
【三次市建設部 濱口 勉 部長】
「本来、空き家の解体は所有者の方で対応してもらうことが原則となっているが、勧告や命令を行っても対応してもらえず、安全確保というところから踏み切った」
建物の老朽化などで深刻化する空き家問題…人口減少や持ち家比率の高い世代の高齢化が進むことで、今後さらに空き家が増加し、行政だけでは対応しきれなくなるおそれも指摘されています。
<スタジオ>
≪解説・カイセツ≫
改めて今回の三次市のケースを整理します。
◇強制撤去の理由
今回、強制撤去の対象となったこの空き家の所有者はすでに亡くなっていて、市は相続人に対して建物の除去を行うよう指導してきました。
しかし、対応する見込みはなく、市は撤去に着手しました。
◇解体費用は?
今回の解体工事にかかる費用はおよそ400万円で、今後、相続人などから徴収し、支払わない場合は資産を調査・差し押さえるなどして徴収するとしています。
ではなぜこうした空き家が増えているのか、その要因の1つが相続問題です。
◇相続問題
県の住宅課によりますと空き家を相続した場合、家財の管理や固定資産税の納税などが負担となってしまいます。
また近年、都市部への人口流出により、相続した空き家の管理が行き届かず、危険な状態の空き家が増えている要因になっています。