シリーズ「みやぶれ特殊詐欺」。
生活が苦しい中、広がる投資。
投資をめぐる詐欺を見抜いた新人の銀行員に、みやぶるポイントを聞きました。
投資詐欺 みやぶるポイントは―
「実際に詐欺にあう人を見て、本当に富良野でもいるんだなとびっくりした」(北洋銀行 富良野支店 高橋茉央さん)
北洋銀行富良野支店の高橋茉央さん。2025年4月に入行したばかりの新人です。
10月、客の男性が投資詐欺にあっていると見抜き、被害を未然に防ぎました。
40代男性と新人行員のやりとり
40代の男性が来店してきたのは10月3日。
窓口の対応を高橋さん一人で任されるようになって3日目のことでした。
「キャッシュカードと通帳を再発行したい」(40代男性)
「そこまで急いでいる様子はなかったが、手続きが終わるにつれ『振り込みをしたい』『早くしたいから』という感じで焦っていた」(高橋さん)
次第に焦りを見せ始めた男性がある言葉を口にします。
「週明けまでに振り込まないと違約金が発生する。急がないと…」(40代男性)
男性が使っていた「投資アプリ」はニセモノ
このとき「違約金」という言葉に違和感を持ったといいます。
詐欺を疑いすぐに上司へ報告します。
上司とともに聞き取りをすると、男性は金の投資をしていることが判明。
すでに別の金融機関を通じて150万円を振り込んでいました。
男性が使っていたのは投資アプリ。
しかし、ニセモノです。
利益が出ているように見せかけるものでした。
投資のマネージャーをかたる女とのLINEを見せてもらうと―
「投資した利益を確定させたいです」(40代男性)
「税金の先払いが必要です。40万円を振り込んでください」(女性)
「週明けまでに振り込みがなければ取引は停止になります」(女性)
男性は利益を引き出すため、としてさらに金銭を要求されていたのです。
「『ATMでしか振り込みできない』詐欺の可能性があると伝えたが―
上司も話を聞くうち、違和感が生まれました。
「『ATMでしか振り込みできない』と。まずそこでおかしいなと思った。振込先が個人名だった。いついつまでと(期限が)とても直近だった。急かして振り込みを依頼する感じが詐欺に当てはまるのではないかと」(高橋さんの上司 斉藤栞さん)
詐欺の可能性があると伝えても「詐欺ではない」と疑う様子のない男性。
副支店長が警察に通報し、警察とともに説得してなんとか被害を食い止めることができました。
ニセの投資への振り込み 後を絶たず
今回は防ぐことはできましたが、ニセの投資への振り込みで来店する人は後を絶ちません。
「数としては本当に増えている。若い人もいれば年配の人もいる。自分が被害にあっているという認識がないのが大半」(北洋銀行富良野支店 副支店長 藤田菊太郎さん)
金融業界で働く母の姿に憧れ、銀行員になった高橋さん。
「小さいころから地元に恩返しできるような人でいたいと思っていた。詐欺とかの対応が増えてきているので、会話の中で上手に聞き出してお客様のニーズに対応できるような行員になりたい」(北洋銀行 富良野支店 高橋茉央さん)
身近な人が騙されていたら
■逆効果なNGワード
「それ詐欺だよ」
「騙されてるよ」など信じている人を否定する言葉は、逆効果。
→怒って話を聞いてくれなくなったり、いつの間にか振り込んでしまっていたり、
むしろ加速させてしまうケースもある
■効果ありOKワード
寄り添って最後まで話を聞く
「同じような詐欺の手口を聞いたことがある」など遠回しに伝える
→詐欺だと自分で気づいてもらうことが大切