岩手県北上市の温泉旅館で、男性従業員がクマに襲われ死亡した事故から10月23日で1週間です。
亡くなった男性は、長く女子プロレス界でレフェリーを務めていました。
この男性と30年以上の仲というリングアナウンサーは、無念の思いを募らせています。
マリーゴールドリングアナウンサー オッキー沖田さん
「残念というか。無念というか」
女子プロレス団体「マリーゴールド」でリングアナウンサーなどを務めている、オッキー沖田さん(52)は、女子プロレスのレフェリーとして、常に選手ファーストを貫いていたという笹崎勝巳さん(60)の死は、大きな損失だと話します。
マリーゴールドリングアナウンサー オッキー沖田さん
「限界を超えている選手もいるので、それを止めるのも、レフェリーの大切な仕事。レフェリーの笹崎さんは、誰もが認める上手なレフェリー」
笹崎さんは10月16日、北上市和賀町岩崎新田の瀬美温泉で、露天風呂の清掃作業をしていた際、クマに襲われ、翌日近くの林で遺体で見つかりました。
沖田さんにとって笹崎さんは、女子プロレス界を30年以上二人三脚で歩んだ「盟友」だといいます。
その笹崎さんはある夢を胸に、2025年にプロレスと沖田さんの下を離れました。
東京都のマンションを引き払い、3月からは妻や2人の幼い娘と瀬美温泉に住み込んでいました。
マリーゴールドリングアナウンサー オッキー沖田さん
「『田舎でもいいから一軒家に住みたい』と言っていた。30年以上の付き合いで、初めて夢を語ってくれて。『プロレスを捨てなければ、家族を取ることはできない』と」
笹崎さんが亡くなった今、思い出されるのは、2人でトラックを交代で運転し、全国を巡業した日々。その日々は決して戻ることはありません。
マリーゴールドリングアナウンサー オッキー沖田さん
「『きょう何人のお客さんが入るんですかね』『いす何個並べるんですかね』とか。『きょうの帰り、何食べます』とか。毎日同じことを繰り返していたので。(あの日々を)繰り返したい」
マリーゴールドは10月26日、東京都の両国国技館での試合の前に、笹崎さんの追悼を行うということです。