福井県の杉本知事から「不適切な内容のテキストメッセージを送られた」と県職員が外部の相談窓口にセクシャルハラスメントとして通報していた事が発覚してから一夜明け、杉本知事は県外に出張し公務を予定通りこなしました。部下である県職員は口を閉ざす一方で、県民からは落胆や非難の声が聞かれました。
◆セクハラ疑惑発覚後も予定通り公務
問題発覚後の23日、杉本知事の姿は和歌山市内に。近畿ブロック知事会議に出席し、予定通り公務をこなしていました。
◆県は職員3500人対象に調査
県によると、今年4月、県職員の1人が杉本知事から不適切な内容のテキストメッセージを送られ、セクシャルハラスメントに当たるとして県が外部に設けている相談窓口に通報しました。22日夕方、杉本知事は県職員にメッセージを送った事実について認めました。
現在、外部の弁護士3人による特別調査委員が、このメッセージがセクハラに当たるかどうか調査を進めています。
また、同様の事案がないかについて、県職員約3500人を対象にした調査も始まる予定です。
◆県庁職員の反応
問題が公表された22日夜、帰宅する県の職員たちに話を聞きました。
Q.知事のセクハラ疑惑を聞いてどうですかー
「分からない」
Q.職員への発表はー
「所属ごとに、所属長が状況を説明した」
Q.それを聞いてどうか―
「今調査中なので、判断はそれを受けてから」
Q.周囲の反応はー
「説明より先に記者会見があったので、知っている職員が多かった。反応は特に何もない」
Q.疑惑が事実だとしたらー
「僕は何とも言えない」
Q.知事がセクハラをするイメージはあるかー
「個人的にはない。知事とかかわったことはないので。職員と普段会うようなことはないので。今調査中であることは共有された」
◆県民の反応
一方、県のトップのセクハラ疑惑について県民の反応はー
「一生懸命、福井のために仕事をしていると思うので、何事もなく終わるといい」(50代)
「信じがたい。上に立つ人として、もし本当なら襟を正してほしい」(70代)
「起きたことが明るみには出ていないが、被害者の方を尊重したい」(30代)
「心配になる。福井県の代表のような人なので、ちゃんとしてほしい」(10代)
「もったいない。あんな問題が起きたことは残念に思う。(知事は)続けてほしいとは思う」(80代)
「特に新幹線の事は早くしてほしいし、色々な政策があるが(セクハラ)が引っかかる」(80代)
「何でそんなことをしたのか。火のないところに煙は立たないので…辞職は考えてほしい。じゃないと変わらない」(30代)
◆議員らの反応
一方、福井市内では23日、道路整備に関する全国大会が開かれ、県内の政治や行政の関係者が顔をそろえました。
留守を預かる鷲頭副知事は、今回の問題については何も答えませんでした。
ただ、出席していた国会議員や県議会議員からは、県政の先行きへの不安や戸惑いの声が聞かれました。
立憲民主党・波多野翼衆院議員:
「新幹線の課題や特に若者のチャレンジ支援を力を入れてやってきた部分で、ブレーキがかかるようなところがあるのは残念」
県議会・宮本俊議長:
「内容が詳しく分からないし調査中ということなので、何も話せることがない。内容が明らかになって、それによっては対応を考えねばならないと思う」
自民党福井県議会・田村康夫会長:
「青天の霹靂(へきれき)。これから明らかになるので、聞いて議会として対応したい」
ふくいの党・山岸充県議
「杉本知事から議員に連絡があって、率直にご迷惑をかけていることに対し申し訳ないと話があった。県政の中身に集中できるような形を常にとってほしい。そのために必要なところは抑えてわきが甘くならないように、私たちも含めやっていくので知事にも取り組んでほしい」
◆杉本知事の公式SNSは投稿がすべて削除
兵藤遥陽アナウンサー:
「杉本知事のXのアカウントです。昨日までの投稿がすでに削除された状態になっています」
杉本知事が運用していた交流サイトSNSは、22日、過去の投稿をすべて削除した上で運用を停止しました。
県は22日、外部の弁護士による調査を進めている途中の段階で会見を開きました。このタイミングについて服部総務部長は「本来、調査結果を取りまとめた上で公表できれば良かったが、これから職員への調査を実施するため、途中でも、ある程度は公表をすべきとの判断にいたった」と話しています。
ただ、知事が送ったメッセージの内容に関することは、通報した職員のプライバシー保護の観点から一切明らかにされていません。
県は、近く実施する全庁の職員約3500人への聞き取りも含め、調査結果がまとまり次第、報告書を公表するとしています。