秋田県内で市街地へのクマの出没が止まらない。人の生活圏にとどまるケースも相次ぎ、22日は横手市中心部で、自治体の判断で猟銃を発砲できる「緊急銃猟」が、県内で初めて実施された。
県内初 横手市中心部で緊急銃猟
21日午後6時過ぎ、横手市本町にある観音寺の敷地に3頭のクマがいるのを通りかかった人が見つけ、警察に通報した。
母グマと子グマ2頭とみられ、クマは22日になって近くを流れる横手川にかかる蛇の崎橋の近くにとどまっているのが確認された。

現場は横手市役所から600メートルほどの市街地だ。
横手市は22日午後、警察などと協議し「市街地にいて危険」と判断。
午後2時15分ごろに緊急銃猟の実施を決め、周辺住民に自宅待機を呼びかけ、橋の歩道の通行を規制した。

そして午後2時45分ごろ、高橋大市長の許可のもと、河川敷にいた2頭の子グマに対し、猟友会のメンバーが4発発砲した。
その後、母グマとみられるクマ1頭も現われ、猟友会が10発を発砲。クマ3頭は駆除された。
けがをした人はいなかった。
緊急銃猟は、9月に施行された改正鳥獣保護管理法に基づいて始まった制度で、周囲の安全など条件を満たしていれば自治体の判断で猟銃が発砲できる。
県内で緊急銃猟が実施されたのは今回が初めてだ。
住宅地下の物置に入り込む→捕獲
北秋田市阿仁打当では22日午前7時ごろ、70代の男性から「物音がして確認したら、クマが自宅の地下に入り込んでいる」と猟友会を通じて市に連絡が入った。
クマは1頭で、体長1メートルほどの成獣とみられる。

クマは地下の物置にとどまっていたが、市が午前10時10分ごろに物置の入り口に箱わなを設置したところ、5分ほどでわなに入り捕獲された。

住民は「地下で物音がすごかった。ガタンガタンと音が鳴って。シャッターを開けたら6~7メートルくらいのところにぴたっと座っていた。目の前で見ればやっぱり怖い。びっくりした。ドキドキして朝飯が食えなかった」とクマを発見した当時の恐怖を語った。
現場は秋田内陸線の阿仁マタギ駅から東に約1キロ離れた住宅で、クマは開いていた物置の入り口から入ったとみられている。
湯沢市のクマは依然住宅内に
20日朝に湯沢市の住宅に侵入したクマは、丸2日以上が経過した22日午後6時現在もとどまり続け、捕獲には至っていない。
20日午前5時から午前6時半の間に、湯沢市のJR湯沢駅周辺で50~70代の男性4人が立て続けにクマに襲われた。

このうち、65歳の男性は自宅の玄関を出てすぐクマに襲われ、クマはそのまま男性の住宅に入り込んだ。市は、住宅の玄関前に米ぬかとはちみつを入れた箱わなを設置している。
クマがとどまり続けて3日目の22日、市は午前8時40分ごろから今後の対応について協議したが、引き続きクマが箱わなに入るのを待つことを決めた。
周辺住民は「街の中にクマがいるのがびっくり。早く落ち着いてほしい」「怖い。早く捕まえてほしい」「孫が学校に行く時、いつも送り迎えをしている。どこに行くにしてもクマがあちこちに出るから大変」と不安を募らせている。
湯沢市駅通り商店街協同組合の男性は「歩いている人も少し不安を抱いているような感じがする。元々人通りは少ないが、もっと少なくなっている気がする」と話していた。

警察は、周辺の飲食店に警戒を呼びかけている。
市教育委員会は、周辺にクマが複数いる可能性もあることから、クマがとどまっている住宅から3キロ圏内にある4つの小中学校に、24日まで保護者の送迎で登下校し、屋外での活動を制限するよう呼びかけている。