自民党と日本維新の会が20日、連立政権を樹立することで正式に合意した。

自民党・大阪府連の前の会長として、参議院選挙で維新と“戦った”青山繁晴参議院議員は「丸呑みは駄目」と題し、総理大臣に選出される見通しとなった高市総裁に「本来の“積極財政”打ち出すべき」と求めたほか、維新が連立の「絶対条件」と掲げた議員定数の削減について、「そのまま受け入れるわけにはいかない」と主張した。

「丸のみは駄目」と自民・青山繁晴参院議員
「丸のみは駄目」と自民・青山繁晴参院議員
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■青山議員「高市さんは本来の“積極財政”打ち出すべき」

自民・青山繁晴参院議員:合意項目の1番目の『経済財政政策』のところなんですけれども、維新の会は基本的に“緊縮財政”なんですね。

大阪で何が起きてきたかというと、例えば令和5年の内閣府のつまり政府統計ですと、東京都民の年収521万円あります。

大阪府民はいくらかご存じですか。“東京都民が521万円だったら大阪は400万円台”。例えば首長さんでもそうやってお答えになるんですよね。

これ正解は283万円です。少し大阪良くなってて、今は300万円台に乗りましたけど、でも東京はもう570万円を超えているんですよね。※1

これ要は緊縮財政の結果なんです。15年前の橋下さんからずっと、自由民主党の府政の緩んだ財政を立て直しでやってきましたから、15年間ずっと緊縮財政なんですよね。

例えば小学校でいいますと、普通の教室のエアコン入りましたけど、図画工作の教室のエアコン入ってなかったりってこともあります。

これを全国に広げると大変なことになってしまうので、項目では経済財政政策になってるだけですから、高市さんは本来の“積極財政”ということをきちんと打ち出すべきだと考えています。

「高市さんは本来の“積極財政”打ち出すべき」
「高市さんは本来の“積極財政”打ち出すべき」

■維新が連立の“絶対条件”と掲げた「議員定数の削減」

維新は連立の条件として、“12の政策項目”を掲げている。

経済財政政策や社会保障政策などが並ぶ中で、“絶対条件”とされているのが「政治改革」の中の「議員定数の削減」。

吉村代表は以下のように発言している。

・衆議院議員の465人の1割減(約50人)
・小選挙区(289人)ではなく、比例区(176人)が削減対象
・今年中、次の臨時国会で成立させる

“議員定数の削減”吉村代表の考えは
“議員定数の削減”吉村代表の考えは

■青山議員「党利党略で議論すべきではない」“定数減”で「東京ばかり議員増える」

これについて青山議員は「党利党略で議論すべきではない」と指摘する。

自民・青山繁晴参院議員:党内で話し合うのはこれからになると思います。ただし、自由民主党の党利党略で話すべきじゃないと思います。

というのは、一番影響受けるのは、(7月の参院選で)民意をたくさんいただいた、参政党や日本保守党であったり。もともと少数政党のれいわ新選組とか、あるいは共産党とかそういうところが一番影響を受けますよね。

それから大阪府民によく考えていただきたいんですけど、小選挙区を残して比例を減らすということは、また東京にばっかり衆議院議員が増えることになりますよね。

今、東京の小選挙区30あって、大阪は19ですよね。でも比例で補って少数意見も反映し、東京・大阪の格差も少なくしようということが、これで失われることを私は懸念します。

「比例で補って少数意見も反映」
「比例で補って少数意見も反映」

■「日本の国会議員は本当に多いんでしょうか」

自民・青山繁晴参院議員:もう1点です。日本の国会議員は本当に多いんでしょうか。アメリカと比べると日本は多いんですが、実はG7で言うと、イギリスは日本の議員の倍います。

日本は700人ちょっとですけどもフランスは900人超えていて、ドイツも800人超えているんですよね。イギリスは1400人超えているわけですよね。※2

それでこう減らすっていうのは、要するに“国会議員丸儲け”みたいに批判されているから、それに乗っかるという意味ではいいけれども、しかし本当は議員数を減らすと民意の反映も減るわけですから、何よりも少数党に配慮するのが日本なのでこれは私はそのまま受入れるわけにはいかないと思います。

この意見には、共同通信社の太田昌克編集委員も同意する。

共同通信社 太田昌克編集委員:国会議員は国民が送っている“お目付け役”なんですよ。内閣=行政府を監視するのが一番の目的なわけで、国会がきちんと監視機能が維持できるように、丁寧に国会全体で少数派の意見も取り込む形でやっていかないといけないんで、私は数の横暴はここでは許されないと思います。(臨時国会で決めるのは)拙速だと思います。

共同通信社 太田昌克編集委員
共同通信社 太田昌克編集委員

■維新が掲げた「12項目の政策」受け入れ過ぎ?

吉原キャスター:維新が求めたのは議員定数削減だけではなく、副首都構想・社会保険料の引き下げなど12項目がありました。自民とすると、要求を受け入れ過ぎではないかという声もありますがいかがでしょうか。

自民・青山繁晴参院議員:だから自由民主党の総裁選挙の結果が出たのに、『総理になれないんじゃないか』っていうことを、(避けるべきだと)優先したわけですよね。

これで無事に総裁選の結果通り、高市さんが総理になれるわけですから、国会って議論の場でありますから、『自由民主党と維新だけで決めましたから、こうです』って、押し切るんじゃなくて。

さっき『自由民主党の受け止めは?』とおっしゃいましたけど、今こそ党利党略よりも少数政党の意見も含めて、全部民意が反映されているので、国会の本来の機能を取り戻すべきです。

自民・高市総裁
自民・高市総裁

■維新の“閣外協力”は「むしろ賢明」と青山議員

吉原キャスター:維新の連立の形は、閣僚を出さない“閣外協力”という形です。これについて、どう受け止めていますか。

自民・青山繁晴参院議員:これはむしろ賢明だと思いますね。例えばこの大阪で自由民主党から分かれて出たのが維新ですよね。

15年の歴史考えてもずっとぶつかってきたわけで、急に何もかも一緒って言ったらですね、維新の皆さんは『大臣ポストが欲しいのか』って誤解も受けるでしょう。これは本当に誤解なので。

だから馬場さんたち、つまり今は代表ではない人の意見も入っていると思いますが、そこは『知恵をちゃんと出されたな』と僕は客観的に考えています。

自由民主党としては、本当は不安定に見えるから困るんですよ。でもこれも党利党略であるべきじゃない。

維新を支持している人も大阪にいっぱいいらっしゃるわけですから。『大臣になるからいい』っていうふうに誤解されない方がいいと思います」

(関西テレビ「newsランナー」2025年10月20日放送)

※1 1人当たり県民所得(内閣府経済社会総合研究所 令和4年度)
東京都 603万円
大阪府 325万円
※2 Inter-Parliamentary Unionまとめによる国会議員数
フランス 925人
ドイツ 699人
イギリス 1450人

自民・青山参院議員
自民・青山参院議員
関西テレビ
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