江戸時代、大名細川家の筆頭家老として八代城主を務めた松井家に伝わる刀剣の展示が、熊本県内では約30年ぶりに実現しました。熊本市の県立美術館本館で松井家ゆかりの品の展示会が開かれています。
【熊本県立美術館 萬納 恵介 主任学芸員】
「現在は、静岡県の佐野美術館の所蔵となっている。熊本では約30年ぶりの展示が実現した」
9月30日から熊本県立美術館本館で始まった展示会『文武に生きた 筆頭家老・松井家 ただいま参上!』。
松井家ゆかりの多数の文化財を所蔵する『松井文庫』の創立40周年を記念して開かれています。
会場には、松井家に伝わる武具や茶道具、古文書など合わせて168点を前期と後期に分けて展示しています。
今回の展示会の目玉の一つが、10月8日から展示されているこちら、〈名物 松井江(まついごう)〉。国の重要文化財に指定されている刀剣です。
今から700年ほど前、鎌倉時代末期から南北朝時代の刀鍛冶、〈郷義弘〉の名刀で松井家が所蔵していました。
江戸時代に徳川将軍家の手に渡り、5代将軍・綱吉の長女〈鶴姫〉が紀州徳川家に嫁ぐ際に引き出物として持参しました。
その後、8代将軍・吉宗が編さんさせた名刀コレクション〈享保名物帳〉に載せられたことで、さらに箔がついたとされています。
〈名物 松井江〉は現在、静岡県三島市にある佐野美術館の所蔵となっていて、熊本での展示は約30年ぶりです。
また、その隣には〈名物 松井江〉の鞘や柄など刀身以外の外装部分、〈朱塗鞘打刀拵(しゅぬりさやうちがたなこしらえ)〉も展示されています。
〈拵〉については松井文庫が所蔵していて、〈松井江〉と同時に見られるのは非常に貴重だということです。
【熊本県立美術館 萬納 恵介 主任学芸員】
「なかなか揃うことがない千載一遇の機会がここ熊本で実現したので、短い期間だがぜひご覧いただきたい」
〈名物 松井江〉の展示は10月26日まで、展示会自体は11月24日まで熊本県立美術館本館で開催されています。