1枚の写真から街を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。
今回は京都・嵐山からスタートです。バックには嵐山の名所「渡月橋」があります。
【兵動大樹さん】「いつ来ても嵐山は絵になりますよね。まだちょっと日差しはきついですが、でも歩いてるだけで涼めるというような素晴らしい景色の嵐山からスタートでございます」
今回兵動さんに渡されたのは、1961年(昭和36年)に京都市右京区で撮影された1枚の写真。
【兵動大樹さん】「なるほどね~。これもう絵ですわ。素晴らしい」
写真には歴史的な建物と思われる場所に池があり、それを眺める2人の人物が写っています。どこの風景か、探し当てることはできるのでしょうか?
■聞き込み難航…日本酒で一息
早速聞き込みスタート!
しかし、外国からの観光客が多く、日本人を見つけるのも一苦労です。
京都に住む息子を嵐山まで送っていったという神戸の女性や、姫路から観光に来たという家族など、様々な人に話を聞きますが、写真の場所を特定するヒントは得られません。
手掛かりが見つからないまま歩いていると、「丹山酒造」という日本酒店を見つけました。
京都府亀岡市の蔵で造られた日本酒をいただきます。
【兵動大樹さん】「ピリッとシャキっとしてる。うまい!これはどんな味してる?やらしいな。仕事中やからな」
そうです、仕事中ですよ!写真の場所を見つけてください。
写真について聞くと、日本酒店のスタッフから「池ではなく渡月橋が架かる桂川ではないか」というヒントが。
■新感覚「虹色団子」
さらに聞き込みを続けると、またもや興味を引かれるお店を発見。
そこでは「虹色団子」という珍しい団子が売られていました。
店員さんによると、7種類の味があり、特におすすめは杏仁味だといいます。
【兵動大樹さん】「うわー!団子がシロップに入ってんの!」
杏仁味を注文した兵動さん。団子をシロップから引き抜くという独特の食べ方に驚きながらも、その美味しさに感激します。
【兵動大樹さん】「めちゃくちゃ美味しい!朝食だったら1食これでええよね。杏仁のうまみの中から団子の甘みが出てくる」
■1150年の歴史「大覚寺」
なかなか先に進めない兵動さん。
1911年(明治44年)創業の扇子店「扇子司 伊藤常」なら詳しいのではないかと思い、立ち寄ることに。
すると、「池といえば天龍寺、大覚寺、広沢池」という重要なヒントが出てきました!
兵動さんはまず大覚寺を訪れることにしました。
【兵動大樹さん】「雰囲気のある。綺麗なお庭やね。すごい場所」
大覚寺に入ると、「このお寺、1150歳!」という案内が。
なんと1150年の歴史があるのです。大覚寺の喜和田さんに写真を見せると…
【大覚寺・喜和田さん】「間違いないです」
【兵動大樹さん】「そうですか!よかった~!」
■平安時代から続く皇室ゆかりの寺
写真の場所は大覚寺だと判明したところで、お寺についてお話を聞くことに。
大覚寺の前身は平安時代の嵯峨天皇が過ごした「離宮嵯峨院」という別荘のような場所でした。
後に、歴代の天皇や皇族が住職を務めた門跡寺院であることから「旧嵯峨御所」とも呼ばれています。
寺には江戸時代に京都御所から移築された「玄関」や「寝殿」があり、ふすまの引き手には徳川家の象徴である「葵の紋」があり、その周りに天皇家の「菊の紋」が囲む意匠が施されています。
これは武家の娘として育った当時13歳の東福門院和子が皇室に嫁いだときの孤独な心情を察して、娘を守ろうとした当時の後水尾天皇のお気持ちが感じられます。
■月を愛でるために造られた「大沢池」
寺を案内してもらう中で、嵯峨天皇が遺した貴重な遺産が2つあることがわかりました。
1つは、勅封心経殿。ここに、嵯峨天皇が直筆で書いた般若心経がいまも残っているのです。
この般若心経は60年に1度しか開帳されず、次回は2078年です。
そしてもう1つが写真の場所でもある「大沢池」でした。
池は周囲およそ1キロもあり、山々の木々の配置なども計算されて造られたといいます。嵯峨天皇はここに船を浮かべて月を愛でるために池を造ったという伝承が残っています。
【大覚寺・喜和田さん】「ただ、皇族の方というのはあんまり上を見上げないという風にも言われておりまして、お空に浮かぶ月と、静かに池に映る月を愛でながらその時間を過ごされたという風になります」
■「観月の夕べ」と水草との闘い
大覚寺では毎年中秋の名月の時期に「観月の夕べ」というイベントを開催しています。
嵯峨天皇がご覧になられた月を、現代の人々も一緒に眺めるという風雅な催しです。
しかし、この行事には意外な苦労があるといいます。
池に生えるヒシという水草が繁茂し、月が水面に映らなくなってしまうのです。
【大覚寺・喜和田さん】「それを私たち職員がウェットスーツを着て池に入ってですね、皆さんが綺麗に月を見ていただけるために、みんなが一生懸命、ヒシ刈りを毎年何度もいたしております」
【兵動大樹さん】「そうやって皆さんが僕は知らないところで職員の方もすごく努力して綺麗な月見てもらおうと。大覚寺さんならではの寺の成り立ちとか、そういうのを見ると心がふわっと洗われる」
■無事に写真の場所を特定!歴史ある大覚寺の魅力を再発見する旅に
無事に写真の場所を特定できた兵動さんは、同じアングルから記念写真を撮影。歴史ある大覚寺の魅力を再発見する旅となりました。
(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2025年10月3日放送)