10月11日、エスコンフィールドHOKKAIDOは熱狂の渦に包まれました。「パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストステージ」の初戦、北海道日本ハムファイターズがオリックス・バファローズを2-0で下し、ファイナルステージ進出へ大きな一歩を踏み出した。

 3万4165人の大観衆が見守る中、ファイターズはエース伊藤大海がマウンドへ。対するオリックスは若き剛腕、山下舜平大が先発し、緊迫した戦いの火蓋が切って落とされた。

 前日に「初回から全開で」と語っていた伊藤。その立ち上がり、先頭の宗を2球でセカンドゴロに打ち取った。しかし、続く太田の左中間への打球をレフト野村佑希が追い付くも落球。ランナーを二塁へ進めてしまう。その後、進塁打で二死三塁とピンチを招きますが、4番中川を2-2から空振り三振に仕留め、初回を無失点で切り抜けた。

 一方、オリックス先発の山下も立ち上がりからエンジン全開。150キロ後半の速球と変化球で先頭の矢澤宏太、石井一成を連続三振に斬って取る。しかし、3番レイエスは158キロのストレートをライトへ運び、チーム初ヒットで出塁。続く清宮幸太郎はフォークボールに空を切らされ、三振に倒れた。

 2回表、伊藤は杉本にチーム初ヒットを許すと、続く若月にも連打を浴び、一、二塁とランナーを背負う苦しい展開に。しかし廣岡を空振り三振に斬って取り、このピンチをしのいだ。

7回無失点と好投した伊藤大海投手
7回無失点と好投した伊藤大海投手
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 するとその直後、ファイターズ打線が反撃に出ます。先頭の郡司裕也がライトフェンス直撃の二塁打でチャンスメイク。田宮裕涼が手堅くバントで送り、一死三塁と先制の好機を演出します。ここで打席には万波中正選手。山下のフォークボールをレフト前へ運び、待望のタイムリーヒット!ファイターズが1点を先制した。

 3回表、先制してもらって再びスイッチが入ったという伊藤。「左右問わず、カウントも空振りもとれた」と語る切れ味鋭いカットボールを武器に、圧巻のピッチングを披露します。先頭の宗、太田、紅林をいずれも三振で打ち取り、さらに4回先頭の中川も三振に仕留め、5者連続三振を奪う快投を見せた。

 しかしその後、この日最大のピンチを迎える。ヒットと2つの四球で二死満塁とされます。しかしここは伊藤が踏ん張り、廣岡をショートゴロに仕留め、この大ピンチを無失点に封じ込めた。

先制打を放った万波中正選手
先制打を放った万波中正選手

 ピンチを凌いだ直後の4回裏、レイエスがセンター前へ2打席連続のヒットで出塁。清宮幸太郎がセカンドゴロ併殺に倒れた直後、打席には郡司。完璧に捉えた打球はレフトスタンドへ一直線!豪快なソロホームランでファイターズが2-0とリードを広げた。

 続く5回裏、先頭の万波がレフト線へツーベースヒットを放ち、無死二塁とすると山下のワイルドピッチで三塁に進塁。しかし野村はサードゴロ、続く水野も155キロのストレートに手が出ず、見逃し三振。そして矢澤もレフトフライに倒れ、この絶好機を逃した。

 その後も力投を続ける伊藤は5回にランナーを背負う場面もありましたが、6回、7回は三者凡退に抑え相手打線を寄せ付けない。115球を投げ、被安打4、9奪三振、そして無失点という見事なピッチングでエースの役割を全うしマウンドを降りた。

 試合後、伊藤は「ここ一番で、ガッと入りすぎて良かったことがなかったので、気負いすぎてダメだったという反省が多かったので冷静に冷静にというのはかなり意識していました」と昨年のファイナルステージでの苦い経験が自身の成長に繋がっていることを明かした。

ソロホームランを放った郡司裕也選手
ソロホームランを放った郡司裕也選手

 リードの2点を死守したいファイターズは、8回表に田中正義をマウンドへ送る。田中は太田をセカンドライナー、紅林をアウトコースのスライダーで空振り三振に斬って取ると、中川をセカンドゴロに仕留め、わずか9球で完璧なリリーフを見せた。

 その裏、追加点のチャンスを迎えたファイターズは、先頭の松本剛がレフト前ヒットで出塁すると、代走に五十幡亮汰が送られます。水野は送りバントを試みるも、二塁で五十幡が走塁死となり、一死一塁。続く矢澤が放った打球はレフトへ鋭い当たりだったが、惜しくも野手の正面。石井も倒れ、追加点とはならず、2-0のまま9回に突入した。

 最終回のマウンドを託されたのは齋藤友貴哉。160キロのツーシームなど気迫の投球を見せ、最後のバッター杉本を空振り三振に仕留めると、エスコンフィールドは勝利の歓声に包まれた。

 試合後のヒーローインタビューでは、万波選手が「数少ないチャンスになると思ってましたし、郡司さんが長打を打ってくれて、なんとか前に飛ばして落ちてくれたら点入るんじゃないかなと思って打席に入りました」と、先制の場面を振り返りました。そして、「明日勝って、決めて、福岡行きましょう!」と力強く語り、ファンを沸かせた。

 また、郡司選手は「昨日記者会見で、ボスが『4番清宮君でいく』って聞いて、あっ俺じゃないんだと。まあ打順は関係ないんで、常に4番の顔をして打席には立っています」と会場を沸かせた。

 新庄監督は万波選手について「もしかしたら、このシリーズのキーマンになってくれることを期待します」と今後の活躍に期待を寄せ、さらに「初戦取れたことはものすごく大きい。明日また、北山くんが伊藤くんと同じようなピッチングをしてくれると、2-1で勝ちたいと思います」と次戦への意気込みを語った。

 ファイターズは12日の第2戦に勝利するとファイナルステージへの進出が決まる。

9回のマウンドを任された齋藤友貴哉投手
9回のマウンドを任された齋藤友貴哉投手
北海道文化放送
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