伊東市を代表する観光地が揺れている。伊豆半島唯一の湖として知られ、“伊豆の瞳”とも称される一碧湖は湖畔を1周できる遊歩道が人気だが、土地所有者と市や地元財産区との関係にひびが入り、10月31日から一部が通行できなくなる。

約10万年前の噴火によってできた火口湖で、伊東を代表する観光地の1つとして知られる一碧湖。

伊豆半島唯一の湖であり、多くの観光客が訪れるほか、市民にとっても憩いの場となっていることから、市は2023年度と2024年度に計1600万円を投じ、安全柵やベンチの設置など遊歩道の整備を行っている。

一方で、この遊歩道の一部は民間の土地で、市は所有者との間で無償での利用契約を結んでいるが、10月末をもって解消されることになった。

きっかけは所有者側の“ある提案”だ。

所有者側によると、手漕ぎボートが置けるような小さな桟橋の設置を計画したところ、県からは同意が得られたものの、市と財産区から「管理できない」「子供が落ちたらどうするのか?」などと安全面に関する指摘を受けたという。

このため所有者側は妥協点を探ろうと市側と協議を始めたものの決裂し、契約解除を通知したところ田久保市長が了承したことから話し合いは打ち切られ、一碧湖の遊歩道は一部区間で10月31日午後3時から立ち入りが禁止される。

これに対し、市側は「所有者が行う事業について地元側と交渉したものの理解を得られなかった結果。地元の理解が得られていない以上、市としても了承するわけにはいかない」と所有者側の見解と食い違う説明をしている。

この問題をめぐっては、田久保市長が9月3日に自身のSNSで「近年、湖畔で進む開発行為と環境保全との共生が課題となりつつあります。先人が大切に守ってきた地域の財産を守り次世代へ引き継ぎ、観光資源として活かしていくための方策を積極的に講じて参ります」と投稿していて、10月7日、テレビ静岡の取材に対し「時代の流れと共に所有者も変わるし、一碧湖の環境も変化している。伊東市民だけでなく、伊豆半島全体の財産ということで保全と共に、どうやって観光と共生させるのか考えていきたい」と述べた。

田久保市長は通行できなくなる部分の遊歩道について、迂回路を設置するよう担当課に指示したという。

テレビ静岡
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