自分の好きな時間帯に短時間の仕事を単発でするいわゆるスキマバイト。人材不足を背景に活用する企業が増える中、昨今の物価高に伴い働き手も増えていると言う。
空き時間を有効活用して副業
静岡県掛川市にある物流会社・サンワNETSで梱包作業をする女性。
慣れた手つきで作業をしているが本業は美容関係の仕事で、聞けば空き時間を使って月に10日ほど副業をしていて、ここ以外にあと2カ所で働いているという。
女性が利用しているのはスポットワーク、いわゆるスキマバイトだ。

女性はスキマバイトをする理由について「転職したばかりで給料が少なく家庭もあるなか、それだけではやっていけないと思い、空き時間も多かったので有効活用できないかと思った」と話す。
スポットワークによる副業収入は月に数万円ほど、食費や日用品の購入に充てていて「働いた分くらいは買えるかなと、ちょっとプラスで考えている」と笑った。

市場調査やマーケティングに関する事業を手がける矢野経済研究所によると、スポットワークの仲介市場は年々規模が拡大していて、2025年度は1347億円が見込まれている。
スキマバイトする会社員が増加
2018年にいち早くスキマバイトのマッチングサービスを始めたタイミ―。
登録した当日から働くことができ、面接や履歴書は不要、さらにはその日のうちに給料が振り込まれることから人気を集めている。

タイミーPRグループの長谷川遥香さんによれば「元々は学生を中心に使ってもらっていたサービスだが会社員の割合が増えてきた。物価高の影響で副業を始め、少しでも生活の足しになるよう、スポットワークを活用する人が増えている」そうだ。
企業側も評価
県内外に30を超える営業所や物流センターを抱えるサンワNETS。
これまで人手が足りない拠点があった時には、近隣にある大きな物流センターから従業員を応援に派遣する形で対応してきたが、特に繁忙期は短時間に多くの仕事が集中し、人材の融通が難しくなってきたため2年前からスポットワークの活用に踏み切った。

サンワNETSの村田和彦 副社長は当初、どういった人がやってくるのか不安を抱えていたものの「ダブルワークで働いている人たちなので仕事に対する意識を高く持っている人が多い。そういった点でも不安なく仕事をお願いできる人材が来てくれている」と評価している。
働き方が多様化する中で
すでに半分以上の拠点でスポットワーカーが働いているサンワNETS。
11月からは最低賃金の引き上げにより、配偶者の扶養の範囲内で働く従業員の勤務時間が現在よりも短くなることが見込まれることから、さらにスキマバイトによる求人募集を増やす予定で、村田副社長は「2~3時間のスキマバイトをしてもらうことで取引先に対する納品時間の確保、物量の安定が図れる」と強調する。

一方、タイミーの長谷川さんは「大前提として人手不足の企業がほとんどだと思うので、1社でも多くの企業にスポットワークがどういう働き方なのか、どういう活用方法なのかということを広めていきたい」と意気込んだ。
働き方の多様化に加え、人手不足や物価高を背景にスポットワークは新たな働き方として定着するのか…スキマバイトの今後が注目されている。
(テレビ静岡)