国の新型コロナ対策事業として全世帯に配布された、いわゆる「アベノマスク」の事業者との契約過程を巡る資料を、国が「不開示」とした決定を取り消す大阪地裁の判決が確定したことを受け、国が開示した資料は不十分だとして原告の大学教授が国に申し入れを行いました。
政府は2020年、新型コロナ対策として17の事業者と契約を結び、約543億円を投じていわゆる「アベノマスク」を全国に配布しました。
これまでに神戸学院大学の上脇博之教授は事業の妥当性を検証するために業者との契約過程を示す文書の開示を国に求めましたが、国は「作成していない」などとして不開示としました。
上脇教授は不開示決定の取り消しを求めて国を訴え、ことし6月、大阪地裁は「文書やメールなどが作成されなかったとは考え難い」と指摘し、不開示決定の取り消しと国に11万円の賠償を命じました。
判決を受け国は今月、上脇教授に新たな資料を開示しましたが、開示されたのは業者とのメールのやり取りの一部などで、業者の選考理由が分かる資料や打合せの記録は開示されなかったということです。
【神戸学院大学・上脇博之教授】「保存期間を理由に、出したくないものをいまだに出していないのではないか。もっともっと膨大な記録があるのではないかと思っています。きちんと、この問題を正面から向き合って、本当に文書がないのか明らかにして欲しい」
上脇教授は開示内容は不十分だとしてきょう=29日、厚生労働相と文部科学相宛に、どのように調査を行ったのかなどの回答を求めて、申し入れを行ったということです。