アルコール濃度がどのくらいだと危険運転致死傷罪になるのか、要件の見直しに向けて法務省が基準案を示しました。
危険運転致死傷罪をめぐっては遺族らから要件が曖昧と指摘する声があり、法務省は2024年に開催した検討会を踏まえ2025年3月から法制審議会で要件見直しの議論を進めてきました。
きょうの法制審の部会で、飲酒運転について体内のアルコール濃度が呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上または0.5ミリグラム以上とする案が示されました。
酒気帯び運転の基準値である「呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上」に比べると1.7倍~3.3倍の数値です。
これは3段階のアルコール濃度に応じて体に起こる症状をまとめたWHOの実験データを参考にしていて、呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上だと判断力や自己抑制の低下、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上では注意力や警戒心の低下、反応の遅延、筋力の低下などがみられるようになるということです。
これまでの検討会や部会での有識者へのヒアリングによるとアルコール濃度とこうした能力の低下の度合いには、基本的には人種・性別・お酒の強さによる個人差はないと判断されています。
速度については、高速道路と一般道で基準を分ける想定で、最高速度が時速70キロ以上の道路ではその速度を60キロ上回った場合、最高速度が時速60キロ以下の道路では50キロ上回った場合とする案などが示されました。
これを踏まえると、例えば、時速100キロの速度制限がある高速道路では時速160キロを超えて運転した場合、時速60キロの速度制限がある一般道路では時速110キロメートルを超えて運転して事故を起こした場合に、一律に「危険運転」とみなされるということになります。
アルコール濃度に比べ速度については、交通状況など考えるべき事情が多くあり委員ごとに意見が分かれています。
一方で、数値基準を下回った場合でも正常な運転が困難な場合など実質的な「危険運転」については処罰できるよう検討されています。
法務省はこのたたき台をもとに議論を進めていく方針です。
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