岩手県八幡平市の安代中学校からわずか50m離れた場所でクマの親子4頭が目撃され、地域に緊張が走っている。クリを食べる様子がテレビカメラに捉えられ、猟友会が出動する事態となった。安全確保のため学校側はクリの木の伐採を決定し、警察も周辺の警戒を強化している。専門家は「子連れの母グマは特に危険」と警戒を呼びかけている。
学校からわずか50m、クリ食べるクマ
「いるいる、何かを食べているようです。クリを食べていると思われます」と内記和人記者が緊張した様子で伝えた。

9月25日午後2時ごろ、八幡平市清水の安代中学校から北にわずか50mほどの林で、クリの木の下にとどまる3頭のクマの姿を岩手めんこいテレビのカメラが捉えた。
カメラに気付いているようだが クマは全く逃げるような素振りはない。

警察によると、同日午前8時ごろ、安代中学校の校舎内にいた生徒が外の林で2頭のクマを目撃した。

さらに約3時間後には、ほぼ同じ場所で成獣と子グマとみられるクマを2頭ずつ、合計4頭を用務員の男性が目撃している。
住宅地に近い場所での出没に警戒感
現場には午後3時頃、猟友会のメンバーが到着。その直後、カメラに捉えられていたクマたちは林の奥へと姿を消した。

クマを目撃した安代中学校の用務員は「毎年のように周辺に足跡があったので大変危ないと思う。生徒はみんなクマ鈴を付けている」と話し、日常的なクマの出没に対する警戒感を示した。

現場は東北自動車道安代インターチェンジから南西にわずか400mほどの距離にあり、近くには住宅が建ち並ぶ地域だ。

安代中学校は25日、もともと午前授業だったため昼ごろに生徒たちを保護者に迎えてもらったり集団下校させたりする措置を取った。
安全確保のためクリの木伐採を決定
翌26日朝には、校門付近や昇降口まで保護者に車で送迎される生徒の姿が見られた。これまでに人への被害は確認されていないが、学校はクマが来るおそれがあるとして、敷地内にあるクリの木の伐採を決定した。

佐藤公一校長は「地域の人たち・行政・警察が(クマの対応に)動いてくれるので、そういう人たちの協力を得ながら、生徒の安全を第一に図っていきたい」と語った。
警察は現場周辺の通学路を中心に警戒を続けているが、26日朝の通学時間には、クマの姿は確認されなかった。
専門家「母グマは特に危険」
クマの生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんは今回の目撃について「雄は子どもを殺す可能性があるので4頭のうち成獣は母親と子どもの雌、もしくは姉妹と思われる」と分析。

さらに「子連れの母グマは危険なので近づかないでほしい」と強く注意を呼びかけている。