羽田空港近くの産廃処理施設で5月、火災が発生。原因は廃プラスチックに混入したリチウムイオン電池で、数十億円の被害が出た。事故は年々増加しており、対策としてAIを活用した検出機器の製品化が進められている。
羽田空港に近い産廃処理施設…復旧まで1年以上
「イット!」が17日に向かったのは、施設の至る所が変色し焼け焦げ、すすだらけとなった工場。

激しい炎に包まれた爪痕が色濃く残っていた。
ライトとみられるものは熱の影響で原形をとどめておらず、蛍光灯があったという場所を見ると、プラスチックの部分が溶けて垂れてきている。

足場も熱で大きくゆがんでいた。

羽田空港に近い産廃処理施設で火事があったのは2025年5月。

被害額は建物だけで数十億円に上り、復旧までは1年以上を要する事態になった。
廃プラスチックの中にリチウムイオン電池混入
火事の原因は、モバイルバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池だったという。

高俊興業・西田圭一郎取締役:
今回は廃プラスチックの中に混ざっていた。リチウムイオン電池が破砕機で破砕されて、そこで火が出て、おそらく(リチウムイオン電池が)3本くらい見つかったと。
(Q.このわずか3本でこんなになってしまう?)
たった3本で僕たちのこの施設は大変残念な姿になっていると。

NITE(製品評価技術基盤機構)によると、リチウムイオン電池を搭載した製品による発火などの事故は年々増加。
中でも、スマホの充電に使われるモバイルバッテリーの事故は5年で2.5倍以上にも及ぶ。

モバイルバッテリーの発火といえば、2025年7月にJR山手線の車内で起きた事故や、2025年1月に韓国で発生したエアプサン機の炎上事故も、モバイルバッテリーからの発火が原因だった可能性が指摘されている。
AI活用しスキャン…2025年度中の製品化目指す
大惨事につながりかねないモバイルバッテリーの事故。
関係機関は今、対策の強化に追われている。
9月になり、西東京バスなど複数の会社が運行する空港連絡バスについて、モバイルバッテリーをトランクルームに預けないよう呼びかけが始まっている。

事故を防ぐ対策が求められるのは、不要となったバッテリーの処理方法についても同様だ。

本来、混入してはいけないリチウムイオン電池が混入していたことで大きな火災に見舞われた担当者は、「リチウムイオン電池の混入は月に数百個くらい。ボヤは月に1回から2回くらい。こちらで除去はしているが、見えないように入ってきてしまう」と語る。

そんなごみに隠れたモバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池を見つけるための取り組みが今、急ピッチで進んでいる。

株式会社PFU RAPTOR事業部・北村純子さん:
空港で使われているような手荷物検査のような装置にゴミを通して、そこでX線の透過映像を使って、AIエンジンを使ってどこにリチウムイオン電池があるか判別する。

スキャナー業界大手の「PFU」が、東京・町田市などと協力。
2024年9月での実証実験では90%を超える発見率を示し、2025年度中の製品化を目指している。

株式会社PFU RAPTOR事業部・北村純子さん:
どうしても見逃してしまうものというのが人の目であったり、新しい製品がどんどん増えてきていますので、そういったところをAIで学習させています。
(「イット!」9月17日放送より)