新型コロナの影響で2019年を最後に途絶え、保存会も解散していた高山市久々野町の盆踊り「新久々野(しんくぐの)音頭」。“地元のシニア”たちが立ち上がり、2025年の祭りで6年ぶりに復活を果たしました。

■2019年を最後に途絶え…保存会も解散した中で立ち上がる
自然溢れる高山市久々野町。2025年7月、小学校の体育館にやってきたのは、早川美津子さん(66)ら“地元のシニア”たち。1978年に作られた「新久々野音頭」を、子供たちに指導します。

早川美津子さん:
「大人になっていく間に、どこかで触れ合うことがある盆踊りだと思います」
久々野町の夏の風物詩として踊られていましたが、新型コロナの影響で2019年を最後に途絶えた上、会員の高齢化により、2024年に保存会が解散する事態となっていました。
早川さん:
「(この盆踊りは)久々野町独自で、盆踊りを作っている市町村はあまり聞いたことがないので、これを途絶えさせてしまっていいのかと」
そこで2025年4月、早川さんを筆頭に継承するための団体が立ち上がり、「新久々野音頭」復活に向け再スタートを切りました。
当時の保存会のメンバー、榎澄子さん(88)も講師として参加し、子供たちにみっちり指導します。

小学6年生ら:
「すぐに習得して踊れるようになったので、楽しかったです」
「花火大会とか人がたくさんいる場所で踊ったりして、広めていきたいです」
また、地元の施設を使って大人たちも練習会。三味線や太鼓に合わせて歌ったり、振り付けを確認したり、大人たちも真剣そのものです。

参加者:
「昔踊っていたので踊れるかなと思ったけど、やっぱり難しいですね。足が…」
■一体感に包まれた会場…音頭が終わり大きな拍手が
祭り当日の9月14日。屋台や500発の花火で会場が盛り上がると、いよいよその時がやってきます。
三味線や歌に合わせて一つの輪になって踊る新久々野音頭。老いも若きも、男も女も…。会場はあっという間に一体感に包まれました。

早川さん:
「盆踊りって、輪を超えると2重3重になっていくんですよ。それが増えていったのを三味線を弾きながら見て、こんなの久しぶりに見たなと思って」

88歳の榎さんや、小学校で早川さんらに習っていた子供たちの姿もありました。
小学6年生ら:
「緊張したけど、最後まで踊りきれてよかったです。めっちゃ楽しかった」
「また踊れる機会ができてよかったと思う。来年も機会があれば踊りたい」

およそ15分間の音頭が終わると、会場には大きな拍手が。新久々野音頭、見事6年ぶりに復活を遂げました。
早川さん:
「本当に、本当によかった。新しく変わることと、守っていかなきゃいけないものとがあると思うので、このままの形で守っていきたいと思います」