7日、史上最速のリーグ優勝を果たした阪神タイガース。
チームを引っ張った1人が今季すでに12勝を挙げている、才木浩人投手だ。
その才木投手は今シーズン開幕前に「日本一になって藤川監督を胴上げすることが恩返しになる」と語っていた。
5年前、右ひじの故障で悩んでいた才木投手が手術に踏み切ったのは、自身も同じ手術を経験して復帰した、藤川球児監督のアドバイスがあってのことだった。

■「今までの人生で一番きついくらい」も 悩んでいた右ひじ手術
今シーズンの開幕前、才木投手はこう語っていた。
才木投手:日本一になって胴上げするっていうのが(藤川)球児さんへのすごい恩返しになるかなと思うので、自分が中心となって貢献できるようにやりたいと思います。
才木投手の右ひじに残る手術のあと。これが監督に恩返しをしたい理由。
5年前、エースとして期待されていた才木投手の右ひじは悲鳴をあげていた。
才木投手:1日中、朝起きて顔洗ってとか痛い、試合で投げた後も痛いし今までの人生で一番きついくらい。
しかし、体にメスを入れることに抵抗もあり手術を迷っていた。

■同じ手術を経験 藤川監督の言葉に背中を押され
そんな時、背中を押してくれたのが藤川監督だった。
日本を代表する投手だった藤川監督は、32歳で念願のメジャーリーグに移籍しましたが、右ひじのじん帯を損傷。
才木投手と同じ手術を受け、復帰を果たした。
才木投手:球児さん自身が経験されていて、ひじもよくなっているので、やるなら早い方がいいという話。『絶対大丈夫』と声をかけてくださったので、自分の中では安心感、球児さんがそれだけ言ってくださるなら大丈夫というのがありました。
手術に踏み切った才木投手は、リハビリを経て育成契約から再スタートし、手術から2年半後には復帰登板で勝利を飾った。
そして、ことしからは、恩人の藤川監督のもと、優勝を目指すことになった。

■「『師匠』と言わしてもらうのは申し訳ないですけど…」
才木投手が、今も目指しているのは“わかっていても打てない”「火の玉ストレート」!藤川監督の“代名詞”だ。
才木投手:まっすぐに関しては、球児さんの球筋と似てると思っているので、球児さんをいろいろと見本にさせてもらったこともあるし。結局真っ直ぐとかで困って聞くのが球児さんだったので、『師匠』とまで言わしてもらうのも申し訳ないですけど。
藤川監督のもと、さらにストレートに磨きをかけ、平均球速は去年を上回る150キロに。
このストレートを武器に、リーグトップの12勝をあげチームを引っ張ってきた。

そして7日、優勝をかけたマウンドに上がった才木投手は、5回にアクシデントはあったものの、磨き上げてきた自慢のストレートで、広島打線を寄せ付けない見事なピッチングを見せた。
そして、藤川監督が甲子園の空を舞った。
才木投手:ほっとしているところと…みんなで重ねてきたことなので、やっぱりうれしい。自分の中でもまだまだよくできるなという部分もたくさんありますし、納得できる部分の方が少ない。まだまだこれから、ことしだけでなくて来年、再来年とどんどん成長できるように、経験として生かしていけたら。