大阪・関西万博の盛り上がりで観光客が増加する中、大阪市では放置自転車対策を強化し、駅周辺などで夜間の撤去作業を毎日実施しています。

撤去された自転車を引き取るには3500円が必要で、引き取りに来た人からは「3500円あればお米が買えるのに」といった嘆きの声も。

そして撤去されたまま引き取られなかった自転車はどうなるのか。徹底取材しました。

閉幕まで残りおよそ1カ月となった大阪・関西万博。

開幕当初、来場者数は伸び悩んだものの今では、収支が黒字になるトータル2200万人を超えるといわれるほどの盛り上がりを見せています。

そんな万博で、多くの観光客が来るからこそ、大阪市がことしから特に力を入れてきたものが…。

【田中友梨奈アナウンサー】「私は今、なんばに来ています。このあたりは自転車の駐輪は禁止されているエリア
なのですが…大量の自転車がとめてあります」

【田中アナ】「こちらには駐輪場、しかも空車。その隣に自転車がとめてあります」

そう、市内各地の放置自転車です。

■4月から毎日夜間に放置自転車の撤去作業

大阪市では40年以上前から、駅周辺の半径300メートルなどを放置禁止区域に指定して、自転車撤去を進めてきました。

さらに、区域外でも7日間放置が確認できた時点で、撤去を行ってきましたが…。

【田中アナ】「午後6時です。自転車の撤去作業が始まりました。スタッフの方4人ほどで一斉に作業が始まりました」

観光客が多く訪れる中、少しでもきれいな大阪をPRするため、キタやミナミの繁華街エリアでは、ことし4月から、毎日夜間に放置自転車の撤去を行っています。

中には盗難防止のため、頑丈なカギをかけている場合もありますが…。

【田中アナ】「かなり頑丈な鍵を切断しようとしています。切られました。かなり容赦なく切断されて撤去されていきます」

■「ちょっと置いただけで3500円は高い」と撤去された人

ちなみに、撤去された自転車を引き取る場合、自転車は3500円、ミニバイクは5000円支払わないといけなのですが…。

撤去された人は…。

【撤去された人】「さっきまで置いていたのになくなった!3500円!?1000円でええんちゃうん!」

【田中アナ】「すみません 関西テレビなんですけど」
【撤去された人】「(携帯電話の)機種変更で15分って言われたのに、時間かかっちゃって…」

…と、「ちょっと置いただけで3500円は高い」とお怒り!

逆に、撤去される直前で何とか間に合った人も…

【撤去されなかった人】「10分、高島屋の地下行っただけ」

このように、「ちょっとだけだから…」という人はあとを絶たず。

撤去作業が終了した午後6時半。その30分後には…また大量の放置自転車が!

撤去しては駐輪、撤去しては駐輪と、まさにいたちごっこ状態。

4月から始まったこの夜間撤去、その成果は?

【大阪市建設局自転車対策担当課長 氏原正晴さん】「150台くらいは引き上げている。だいぶ減ってはきている、減ったなという体感できるまではない。これから頑張って減っていけばいいな」

■撤去される自転車は年間9万4000台 ダントツ多い

大阪市では撤去した自転車をエリアごとに13カ所で保管しています。

その1つ、大阪市港区にある市岡自転車保管所に行ってみると…。

【田中アナ】「ずらーっと自転車が並んでいます。よく見たら撤去された時間と場所で分けられているみたいです。ママチャリとか結構、色んな種類の自転車が置かれています」

ここに保管されていたのは梅田や北新地など、大阪キタの中心地で撤去された自転車やバイク合計およそ500台。
※9月2日時点

ちなみに、大阪市全体で年間どれぐらいの自転車が撤去されているのでしょうか?

【大阪市建設局自転車対策担当課長 氏原正晴さん】「昨年度でいいますと年間9万4000台。名古屋市で2万7000台と聞いていますので、3.5倍ぐらい。とびぬけて1番です」

そう、政令指定都市で見ると、京都や神戸と比べても8倍近い差でダントツというおっカネ~状況。

群を抜いて多いからこそ、かかってくるおっカネ~費用が…。

【大阪市建設局自転車対策担当課長 氏原正晴さん】「駅前とか放置現場から、保管所に運び込む撤去運搬費。保管所の運営経費で(年間)5億5000万ぐらい」

一方、この事業を支える大きな収入というのが…。

【大阪市建設局自転車対策担当課長 氏原正晴さん】「引き取りにくるときに保管返還料が自転車で3500円。保管返還費で(年間)1億7500万円ぐらい収入としてはあるんです」

そう、自転車を引き取りに来た人が払う撤去保管料が大きな収入に。

■撤去された自転車を引き取りに来る人「撤去保管料もったいない」

そこで気になるのが、その返還率。

自転車を撤去された場合、一体どれだけの人が引き取りに来るのでしょうか?

【大阪市建設局自転車対策担当課長 氏原正晴さん】「返還に来る人が6割ぐらい。『ちょっと、停めてただけやのに…』と、気持ちよく帰られる方は少ない」

そこで、実際に取りに来た人に、話を聞いてみようとトライしたのですが…。

【田中アナ】「すみません。おはようございます。関西テレビの田中というものなんですけど…」
【自転車を取りに来た人】「急いでいるので、ごめんなさい」

機嫌が悪い人が多いのか、なかなか話を聞けず…

それでも果敢に突撃取材する田中アナ。

【自転車を取りに来た人】「5分ぐらいの感覚で、夜に来ると思ってなかった。気をつけて駐輪場使うようにします」

【自転車を取りに来た人】「仕事でビルに用があって、まわりに駐輪場なかったので、ちょっとだけいいかなと…。(撤去保管料)3500円でおいしいご飯食べられたり、お米だったら5キロ買えたりするのでもったいないな。ボロボロの自転車だったら放置しちゃうかも。電動自転車の最近買ったばっかりなんで取りに来ようと。(自転車は)15万円ぐらいです。5000円でも取りに来ますね」

【自転車を取りに来た人】「ルール破ってるから仕方ない。(自転車は)7000円弱。新しいの(自転車)買っても良かったけど、撤去させる側も悪い」

ちなみに…

(Q.1回じゃなくて何回も来られる方も?)
【大阪市建設局自転車対策担当課長 氏原正晴さん】「中には7回目とか、月に3回来られる方とか」

【田中アナ】「月3回だと1万500円の保管料を払って、同じ自転車に乗られる…。保管料だけでだいぶおっカネ~ですね」

■保管期限を過ぎた自転車は売却される!?

そして、大阪市では撤去日から20日間、保管所で保管されているのですが、期限をすぎても取りに来ない場合、撤去された自転車は?

【大阪市建設局自転車対策担当課長 氏原正晴さん】「売却処分をしている。20日間過ぎた自転車をまとめて、ここから違う場所に移動させて、業者さんに売却しております」

う…売られてしまう!?いったいどこへ!?

大阪市で撤去され、引き取る人が現れなかった自転車はどうなるのか?

田中アナがやってきたのは、神戸市西区のとある会社。

【田中アナ】「とんでもない光景が広がってます!子供用とか、さびてるのもあったり、きれいなものもあるんですけど、とにかく全部自転車。私身長160センチなんですが、3メートル以上ありますかね、自転車の壁ができています」

■撤去された自転車は買い取り業者が海外へ販売

こちらで保管されていたのは、大阪市や神戸市から買い取ったおよそ3500台の撤去された自転車。

これを一体どうするのでしょうか?

【自転車買い取り業者 インディカさん】「これは海外に輸出する予定です。カンボジア、ミャンマー、スリランカ、アフリカなど」

というのも、インディカさんの会社はスリランカにあるため、一度カゴなどの部品をばらして、コンテナに積み込み、効率的に船で輸送。

現地で再度組み立てて、海外のバイヤーに販売しているんだそうです。

しかし、そもそもこの大量の自転車、行政からいくらで買い取っているのでしょうか?

【自転車買い取り業者 インディカさん】「1台2500円~3000円あたり」
【田中アナ】「思ったより高かった」
【自転車買い取り業者 インディカさん】「スリランカだったら、1台5000円くらい。日本の自転車は有名。壊れにくいっていうのはあります」

「もういいや」と引き取りにいかなかったあなたの自転車も、もしかしたら今、海外で見知らぬ人が乗っていたりするかも。

(関西テレビ「newsランナー」2025年9月5日放送)

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