残すところあと1カ月あまりとなった大阪・関西万博。
その裏で動く、知られざる多額の万博マネーを徹底取材しました。
万博公式キャラクター「ミャクミャク」が今、予想以上の人気に!
【記者リポート】「まだお昼過ぎですが、店の前には行列ができていて、次々と客が入っていきます」
【オフィシャルストア】「日に日に客が増えている。1.5~2倍ぐらい想定を超えてきた」
来場者の消費額は、7月末までで3540億円。
【万博来場者】「3万円ぐらい」「まだ2万円ぐらい」「ミャクミャクがかわいくて」
一方で、見えないところで動く裏の“おカネ”も…。
【マレーシア貿易開発公社の担当者】「日本の潜在的なバイヤーと出会うための、非常に良いプラットフォーム」
「newsランナー」徹底取材!万博の「表」と「裏」で動く“おカネ”とは?
■万博に訪れた人が会場の内外で使った総額3540億円
駆け込み需要で、連日多くの人でにぎわう万博会場。
食べ物もお土産もちょっとお高めの“万博価格”ですが、ついつい財布のヒモがゆるんでしまう人も多いようで…。
【来場者】「こんな時じゃないと、行けない国のごはんとかも食べられるから。万博始まる前は、もうちょっと痩せてたんです。“万博太り”です」
アジア太平洋研究所が発表した調査によると、万博に訪れた人が会場の内外で使った総額は、なんと推計3540億円!
ここまで消費額を押し上げた要因…それは公式キャラクター「ミャクミャク」。
今では、ミャクミャクグッズを身に付けた人があちこちに。
消費総額のうちミャクミャクグッズなどの「会場内での買い物代」は、推計456億円にものぼります。
■オフィシャルストアでの購入金額は平均9200円
【記者リポート】「まだお昼過ぎですが、店の前には行列ができていて、次々と客が入っていきます」
ミャクミャクグッズを販売しているオフィシャルストアは、人・人・人で埋まっています!
開店からわずか数時間で売り切れる商品も。
いったいなぜ、ミャクミャクグッズをたくさん買ってしまうのでしょうか。
【来場者(約3万円分購入)】「見ると全部ほしくなる。止まらないです。(万博が)もう終わっちゃうので、思い出に」
【来場者(約2万円分購入)】「(大屋根)リングのお菓子と、(中身が)何か分からないピンクボール。(購入総額は)まだ2万円ぐらい。一生にあるかないかだから、いいかなと思って」
オフィシャルショップから出てきた人100人に聞くと、購入金額の最高は4万2000円、平均およそ9200円という結果に!
閉幕が迫る万博でしか買えない“限定商品”という特別感が購買意欲を高めているようです。
■「こんな高いの売れるんだ…」グッズ製作会社も驚き
好調な売れ行きに、グッズの製作を行う会社もまだまだ大忙しです。
【ヘソプロダクション 鈴村直也さん】「全部、ミャクミャクグッズの万博会場内だけの専用の倉庫です」
段ボールに入っているのは、全てミャクミャクグッズ。
毎日、倉庫と夢洲を2往復していますが、納品が追い付かないことも。
【ヘソプロダクション 鈴村直也さん】「毎日のように入っては出て行って、入っては出て行って。1週間分も置いてないくらい」
開幕当初から人気の商品は、「ミャクミャクハンディファン」4950円(税込)。
【ヘソプロダクション 鈴村直也さん】「こんな高いの売れるんだって思ったけど、売れてますね」
そして、今一番売れているのが…ミャクミャク×サンリオキーホルダー1650円(税込み)。
【ヘソプロダクション 鈴村直也さん】「サンリオキャラクターとのコラボなんですけど、毎日何千って数を納品していても、1日でなくなってしまうという。後半の方がお客さん増えてくるって事で、これからまだ売れるなって…」
専門家によると開幕前の消費総額の試算は8913億円。ミャクミャク効果で今後、それを上回ると分析しています。
【アジア太平洋研究所 稲田義久研究統括】「(経済活動は)閉幕日の前にぱたっと止まるっていう形ではなくてですね、そのギリギリまで加速し、一定期間は伸びていく、そんな風に思っております」
■1日200食限定 ミャクミャクと人気キャラクターがコラボ弁当
過熱する“ミャクミャクマネー”は万博会場の外でも。
早朝5時、あわただしく稼働する工場で作られていたのは…ミャクミャクとキン肉マンがコラボした限定の弁当。超人タッグ弁当‐但馬牛牛めし‐1620円。
日本初の「幕の内駅弁」を販売した「マネキ食品」が、9月1日から販売を始めました。
1日200食を製造していて、10分ほどで完売する店舗もあるそうです。
【記者リポート】「お肉の味が染みていて、ごはんが進みます。これを食べたら超人パワーがつきそうです」
関西風に甘辛く味付けした但馬牛が、パッケージのインパクトに負けないおいしさです。
(Q.お味の自信どうですか?)
【まねき食品 竹田典高社長】「へのつっぱりもいらんですよ!」
(Q.何言ってるか分からないけど、すごい自信ですね)
【まねき食品 竹田典高社長】「漫画のキャラクターでございます。ついてきてください」
■パビリオンの裏側では…3500億円超えの商談が
とどまるところをしらない「万博マネー」。実は、私たちの目が届かない意外な場所でも動いていました。
取材班が訪れたのは、連日、長蛇の列ができるマレーシアパビリオン。
ご当地料理の「ロティーチャナイ」が食べられるとあって人気ですが、その裏側では…。
【記者リポート】「なんか部屋があるんですよね。ビジネスプログラムと書いてます。こちらで商談会が行われているんです」
商談会を開いていたのは、マレーシア貿易開発公社。日本をはじめとする参加国にマレーシア企業の魅力をアピールする狙いです。
万博会場は「ビジネスの場」でもあるのです。
こちらではマレーシアの食品会社が、大阪の飲食店に“果物の王様”ドリアンを加工して作った「ペースト」をアピール。
【マレーシアの食品会社の通訳】「お菓子とかアイスクリームとかに使用していただけるペーストでして、こちらのペーストが主にベーカリー、パンだったりとか、ピザ生地だったりとかに使える」
【大阪の飲食店】「これはオーガニックなんですか?」
【マレーシアの食品会社の通訳】「完全にオーガニックです」
【大阪の飲食店】「お客さんがどこまで受け入れてくれるのか…1袋だけ買ってみたい」
どうやら、興味を持ってもらえたようです。
マレーシア貿易開発公社によると、見込みも含めて成約した商談や投資案件の総額は、なんと、3500億円を超えたそうです。
【マレーシア貿易開発公社の担当者】「万博はマレーシアの企業が、日本の潜在的なバイヤーと出会うための非常に良いプラットフォーム」
■万博きっかけに“外国企業と商談”増加
この「商談マネー」の波は、日本企業にも…。
日本企業の海外展開を支援する「ジェトロ」には、万博開幕からの3カ月で、80カ国からビジネスに関するおよそ200件の協力依頼が寄せられました。
万博をきっかけにアフリカや中南米の企業などから依頼が増えているそうです。
【ジェトロ大阪本部海外ビジネス推進課 野澤拓郎さん】「元々万博の経済効果はあると思うんですけども、できましたら、私たちとしてはぜひ、その上に外国企業との商談成果ということで、経済効果に貢献できればなと思っています」
閉幕まで残り1カ月あまりとなった万博。
「表」と「裏」で動く「万博マネー」が成功のカギを握りそうです。
■『明治ブルガリアヨーグルト』も万博をきっかけに誕生 「商談の成立こそが万博のレガシー」京大・藤井教授
1970年の大阪万博から誕生した商品もあります。ブルガリア館で明治の社員が本場のプレーンヨーグルトを試食したことが開発の契機となり、今に至るということです。
【京都大学大学院・藤井聡教授】「万博って『万国博覧会』=『exposition』ですから、ディスプレイして、見てもらって、いろんなものに繋げていくということです。その中の重要な要素が明治ブルガリアヨーグルトのような商談の成立ですから、これこそ重要な万博のレガシーかもしれないです」
(関西テレビ「newsランナー」 2025年9月5日放送)