仙台市宮城野区にある老朽化した空き家2軒について、仙台市は倒壊の危険があるなどとして、所有者に代わって解体する略式代執行を行いました。

記者リポート
「こちらの空き家は草が生い茂り、窓ガラスも割れています。そして隣にあるもう一軒は、倒壊し、原型を留めていません」

略式代執行による解体工事の対象となったのは、宮城野区小鶴1丁目の築50年が経過している木造2階建てと木造平屋の空き家です。

2020年以降、近くに住む人から「強風時にガラス片が飛んでくる」といった相談が寄せられていることや倒壊のおそれがあることから、「空家特措法」に基づく略式代執行に踏み切りました。

所有者となっている不動産関係会社は、解散していて連絡が取れず、工事費用およそ700万円は、全額、市が負担するということです。

解体工事は11月末に完了する見通しです。

総務省が5年ごとに行う調査によりますと、おととし10月1日時点の県内の空き家の数は14万軒に上り、過去最多となりました。

県内の住宅のおよそ8軒に1軒が空き家という状況です。

空き家が増加している要因について専門家は。

筑波大学生命環境系 久保倫子助教
「親の家を賃貸や売買に出したりせず、別荘でもないという状態で、よく分からないまま保持している人が、すごい数に到達してきている」

背景にあるのは、社会構造の変化です。

筑波大学生命環境系 久保倫子助教
「家族の在り方や働き方。そして人々の移動。今までは国内でせいぜい済んでいたが、若い人がどんどん海外にも出ていく。こんな状況でなかなか親の家を守るとか維持するとかは難しい」

放置することで、犯罪被害のリスクや衛生・景観上での問題が生まれる空き家。解体するという選択肢もありますが、更地にすることで固定資産税が上がります。

久保助教は、空き家が増加している現実に合わせて、制度を見直していく必要があると指摘します。

筑波大学生命環境系 久保倫子助教
「人口が減っていくとか、家が余っていく時代に合わせた制度に全体的に少しずつシフトチェンジしていくことが、一番求めらていると思います」

仙台放送
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