大村市で同居していた女性を16年前に殺害した罪に問われていた馬場恒典被告について、長崎地裁は4日「殺害行為への関与の確定が困難」として無罪判決を言い渡しました。

検察側は控訴について、「上級庁と協議する」とコメントしました。

殺人の罪に問われたのは、住所不定の無職 馬場恒典さん(75)です。

起訴状などによりますと、馬場さんは2009年、大村市の自宅で同居していた内縁の妻 松永千賀子 さん(当時40代)の頭などを複数回殴り殺害した殺人の罪に問われていました。

馬場さんは、初公判から一貫して起訴内容を全面的に否認していました。

裁判では事件の凶器や犯行日が特定されておらず、検察側は16人の証人尋問と、現場にわずかに残された証拠をもとに犯行を立証しようとしていました。

4日の判決公判で長崎地裁の太田寅彦裁判長は、松永さんが他者によって大村市の自宅で殺害されたことを認め、金銭トラブルや不審な行動など、馬場さんには殺人の実行犯として濃厚な嫌疑がある、としました。

その一方で、遺体の遺棄などに関与したとされる証人Aによる「ハンマーの処分依頼を受けた」「毛布にくるんだ遺体のようなものを運んだ」との証言の信用性に疑問を呈します。

太田裁判長は「証人Aは、遺体やハンマーそのものを見ておらず、凶器は鈍体であるものの未発見で確定できていない」「証人Aの関与が殺害行為に及んでいるか、程度を確定することは困難」などとして無罪判決を言い渡しました。

馬場さんの弁護人
「判決の結論はよかったものの過程の部分で、弁護人としても納得いかない部分も少なからずあった」「本人もなかなか整理がついていないところもあって少し興奮していたところもあるが、ひとまず安心されていた」

コメント読み上げ(遺族の代理人弁護士)
「今は何も考えることはできません。被告人が犯人でないのであれば、誰が千賀子を殺したのでしょうか。検察官にはぜひ控訴して、真実を明らかにしてもらいたいです。松永千賀子 遺族一同」

検察側は「判決内容を精査し、上級庁とも協議のうえ適切に対応したい」としています。

控訴期限は9月18日です。

テレビ長崎
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