雨不足を受けて、宮城県は9月3日、開会した9月定例会に、農業渇水対策費として1億円を計上した補正予算案を提出し、本格的な対策に乗り出しました。

まもなく収穫の時期を迎える石巻市渡波地区の田んぼ。水不足に悩む今シーズン、急きょ導入されたのが。

石巻市稲井土地改良区 和田佳一理事長
「これが井戸、地下水ポンプです。堀り抜きタイプで容量2.2キロワット。深さは約6メートル」

この地域の農地の整備などを行う石巻市稲井土地改良区は、今年7月から8月にかけて地下水をくみ上げるポンプを2台設置。1時間でおよそ20トンの地下水をくみ上げることが可能で、掘削にかかる費用やポンプ本体の価格など、1台あたりおよそ100万円かかったということです。

県はこうした費用の2分の1を補助するため1億円を計上した補正予算案を、9月3日、開会した県議会9月定例会に提出しました。

8軒の農家がコメを栽培している石巻市渡波地区では、近くにまとまった水源がなく、例年、ひとつ山を超えた先を流れる大和田川からポンプで水を送り出して使っています。

しかし…。

コメ農家 菊地昭博さん
「中干後、まったく雨が降らなくて、こっちの水も無くなって、用水として隣の稲井地区から水が来るんですけど、その水もなかなか十分なくらい、こっちに供給されることなく、この先どうなるのかなって」

出穂期で大量の水を使う今年7月の石巻の降水量は5.0ミリで、統計を取り始めた1888年以降、2番目に少ない量に。大和田川の水位も大幅に低下。取水が困難となったため、応急的な措置として、ポンプを設置したということです。

コメ農家 菊地昭博さん
「いま稲刈りの時期になり、収量や品質に影響は出ると思いますけど、稲刈りの時期を迎えられたのは感謝しかないです」

石巻市稲井土地改良区 和田佳一理事長
「大変な少雨で、皆さんが渇水を危惧されたわけですね。担い手の皆さんもある程度、平年並みの収量と思っていますので、私たちもやったかいがあったと思っています」

多くの人が主食とする「コメ」。その根幹を支える継続的な取り組みが、これからも求められています。

仙台放送
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