2022年、新潟県村上市や関川村を襲った記録的豪雨で被災し、今も運休が続いているJRの米坂線。6回目を迎えた復旧検討会議では、これまでに示されている復旧案についてのイメージが示された。一方で、花角知事は「JRが外にいて第三者的に支援するというのは違う」とJR側の姿勢に苦言を呈した。
■運休続く米坂線…これまでの会議でJR側は4つの復旧案を提示
2022年8月に県北部を襲った記録的豪雨で被災し、今もなお一部の区間で運休が続いているJR米坂線。運休区間にある踏切は線路の場所が分からないほどに雑草が生い茂っていた。
8月27日に関川村で開かれた6回目となるJR米坂線の復旧検討会議。
冒頭、JR東日本新潟支社の羽中田淳企画総務部長は「改めて米坂線沿線の地域や公共交通について現状を踏まえるとともに、両県にご意見をいただきながら、イメージとしてそれぞれの負担について提示したいと考えている」と挨拶した。
これまでの会議でJR側は、利用状況の試算などから復旧後の米坂線を単独で運営することは難しいとし、沿線自治体が土地や施設を保有する上下分離式やバスへの転換など4つの復旧案を提示。
これに対し、沿線自治体からは、それぞれの案について「復旧後のイメージが難しい」などといった声が上がっていた。
■JR側が各案のイメージを提案「議論具体化へ1つのスタート」
新潟県と山形県の意見を踏まえ、JR側は各案の利点などのイメージを提案した。
沿線自治体が土地や施設を保有する上下分離式と地域が鉄道を運営する場合には、地域のニーズに合わせ、需要が見込まれる場所への新駅の設置などが可能になるというイメージが示された。
一方、バスへの転換では、病院や役場など柔軟に停車位置やルートを設定できるなどとしている。
ただ、いずれも運行事業者や費用の確保が課題となる。
会議を終え、新潟県交通政策局の濱口信彦局長は「1つのたたき台が出てきて、それを実現するための規模感としてどれくらいのコストがかかるか、そういった議論が具体化するものだと考えている。1つのスタート台が出てきたというのが今回の会議の大きな意義」と話す。
一方、JRの羽中田部長は「地域がどの交通形態を選ぶかということに基づいて、我々としての具体的な支援について、技術なのか、人的なのか、金銭なのかというところを持ち帰って検討したい」と話した。
■花角知事はJR側の姿勢に苦言「第三者として支援は違うのでは」
どこまでの負担を許容するか、その選択が自治体側に委ねられているが、花角知事は8月28日の会見でJR側の姿勢に苦言を呈した。
「一般的には、基本的に災害から復旧する自らの事業ですので、そこは当然、JRが外に行って第三者的に地方自治体を支援しますというのとは違うのではないのですかと思っています。他の災害復旧の例、例えばJR九州の日田彦山線の例やJR東日本のBRTで復旧させた気仙沼線・大船渡線にしても、皆それぞれ、基本的にはJRが、形は変えても事業としてやっていただいていると理解していますので、当然、ここもそういうものだと理解しています。」
運休から3年…公共交通機関としての役割と責任が問われるとともに、地域のためにも早い結論が求められている。
(NST新潟総合テレビ)