「防災週間」の今週は、シリーズで富山県内の防災対策についてお伝えしています。
2日は大きな被害が想定される「南海トラフ巨大地震」の県内への影響と備えについて考えます。
今後30年以内に80%程度の確率で発生するとされていて、富山も深刻な「被災地」になる恐れがあります。
*富山大学(地質学専門) 竹内章名誉教授
「これから30年余裕があるなんて思ってはいけない。もう数年以内に起こってもおかしくないという状態」
今後30年以内に80%の確率で発生するとされる「南海トラフ巨大地震」。
震度7の激しい揺れや最大で30メートルを超える大津波が太平洋沿岸を襲うと想定されています。
発生時、富山県は静岡県を支援する担当で、職員の派遣のほか避難者の受け入れなどが検討されています。
しかし…
*富山大学(地質学専門) 竹内章名誉教授
「南海トラフ地震の被災地を助ける側に立とうという意思は必要だが、『被災地』になり得るということ」
地震研究に詳しい、富山大学の竹内章名誉教授は、南海トラフ地震に対する富山の危機意識の低さを指摘します。
南海トラフ地震の予想震度(防災科学技術研究所)
*富山大学(地質学専門) 竹内章名誉教授
「震度5弱というのが県内広い範囲にある。その中で震度6弱予想も。面積的に大きいのが富山市の東部。舟橋村・立山町・滑川市の一部も。(富山市)婦中地区を中心とした場所」
「射水市の平野部南部。丘陵の付け根のような場所」
県内各地の震度は、去年の能登半島地震を上回る可能性があるといいます。
さらに…。
*富山大学(地質学専門) 竹内章名誉教授
「南海トラフ地震の場合は県南部の方が相対的により強く揺れる」
「平野部でも被害は出るが『山間部』でも能登半島地震以上に強く揺れる。『土砂災害』が発生するということ」
能登半島地震では土砂の崩落などで道路が寸断されるなどして「集落の孤立化」が多発・長期化しました。
富山では特に「山間部」で強い揺れが想定されるため、同様の被害が起きる可能性も。
また能登半島地震で地盤はすでに傷んでいる・緩んでいる状態にあるといい、大規模ながけ崩れや落石などの恐れもあります。
*富山大学(地質学専門) 竹内章名誉教授
「備えは決して怠ってはならない」
この南海トラフ巨大地震、甚大な被害が想定されているのは、太平洋側ですが
ライフラインは全国で大きな被害を受けるとされています。
特に電力は、40の都府県で最大2950万軒と国民の半分ほどの家が停電に。
富山はこの想定に含まれていませんが、各地で計画停電が行われる可能性もあります。
こうした想定も踏まえ、いま特に注目されているのが「停電対策」グッズです。
富山市の家電量販店。
能登半島地震以降、防災関連の商品を求める人が多く訪れるといいます。
こちらは、手回し式のラジオライト。
停電時、電源がなくてもラジオ・簡易ライト・充電器・サイレンと1台で4つの機能を果たします。
そして…
*エディオン富山布瀬店 麻柄優樹さん
「特に売れているのが『ポータブル電源』」
「もともとはキャンプ、アウトドアでの利用シーンが多かったが、最近は防災グッズとしても売れている」
持ち運びが可能な充電式の電源装置、ポータブル電源。
ソーラー充電に対応しているものもあります。
*エディオン富山布瀬店・麻柄優樹さん
「(容量の大きいものでは)約3000回ほど充電できる。長期的に利用することができる商品、そういう点が注目されているのかと」
停電時にも電源を確保できるとあって、ポータブル電源の売り上げは右肩上がり。
こちらの量販店では、全国あわせてこの4年で4倍以上に伸びているといいます。
大規模な災害が懸念される今。
「電源の確保」や「最低限の備えを手軽に」できるものが特に注目されています。
このほかガスや水道などが止まる場合にも備えて、改めてですが、食用・飲料・生活必需品の備蓄が必要です。
飲料水は1人1日3リットルが目安。
そして食料や生活必需品なども含めて大規模災害の発生時には1週間分の備蓄が望ましいとされています。
この防災週間をきっかけにぜひ家庭での備えを見直してみてください。