トランプ流てんこ盛りで対決姿勢より鮮明に

超大国アメリカを率いるトランプ大統領の新型コロナウイルス感染発覚に、アメリカ国民のみならず、世界の目が釘付けとなった。病院を抜け出し、支持者にアピールした「サプライズ訪問」、3日5日のスピード退院、極めつけの「マスク外し」のパフォーマンス・・・まさに“トランプ流”がてんこ盛りの5日間となった。

退院後、ホワイトハウスでマスクを外しポーズをとるトランプ大統領 10月5日
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退院から一夜明けた6日には、隔離中のホワイトハウスのレジデンス(公邸)からツイートを連発。「インフルエンザの季節がやってくる。毎年多くの人が死亡しているが、国を閉鎖するのか?いや、我々は共存してきた。まさに、新型コロナとそうしているように。大部分の人にとって、はるかに致命的ではない」と主張し、自身が感染した後も重ねて新型コロナウイルスの脅威を過小評価した。(※これに対し、ツイッター社は誤解を招く情報が含まれているとして、警告ラベルを表示)

また、「10月15日の大統領討論会を楽しみにしている。素晴らしいものになるだろう」と述べ、大統領選への復帰に意欲を示した他、コロナ対策の与野党協議打ち切りを発表し、対決姿勢をより鮮明に打ち出した。

レジデンスのバルコニーで約20秒にわたり敬礼

“強さ”アピールは吉と出るのか?凶と出るのか?

「ウイルスを恐れるな」「私のようなリーダーは他にはいない」などと、一段と激しさを増すトランプ流の“強さ”アピール。アメリカ国民はどのように捉えているのか。そして、1カ月を切った大統領選に、どのような影響を与えるのだろうか。

対抗馬の民主党のバイデン前副大統領は6日、ペンシルベニア州で演説し、トランプ大統領の感染自体への批判は控えつつも、「マスクの着用やソーシャルディスタンスの維持は、政治的問題ではない。科学に基づく措置だ」と指摘。トランプ流の“強さ”は、本物の強さではないと暗に批判した。

民主党のバイデン前副大統領は「マスク着用は重要だ」とトランプ氏を暗に批判

地元メディアは、どう伝えたのか。

ワシントン・ポストは、「トランプ大統領は崖っぷちで、弱々しく見えた。それは彼が病気にかかり、マスクをしていたからではない。感染を受け入れ、回復に専念する代わりに、シークレットサービスを犠牲にしてまで、見栄を張る欲求に駆られたからだ」と酷評。医師の見解を引用し、「退院は意味不明」と伝えた。

ニューヨーク・タイムズは、トランプ大統領の移動に立ち会ったシークレットサービスへの警護官への感染を懸念。「誰が彼らをトランプ大統領から守るのか?」と題し、「シークレットサービスは大統領の指示にノーと言えない。トランプ大統領の気まぐれで、危険にさらされた」と批判を展開した。

一方、政治ニュースサイトのポリティコは、トランプ大統領が病気の克服をアピールし、「強さ」を印象付けようとしている、と分析。しかし、「今回の経験をウィルスに感染した数百万人のアメリカ国民の痛みに結びつけようとしたものの、より広範なウィルス対策について国民に何も話していない」と論評した。

支持率の差は拡大 プラスの兆候なし・・しかし急変もありうる

最新の世論調査を見てみよう。

ロイター通信の調査(10月2~3日実施)では、65%が「トランプ大統領がウィルスより深刻に捉えていれば感染しなかった」と回答したとし、感染への同情による支持は広がっていないとの見方を示した。

CNNが感染判明後に行った調査(10月1~4日実施)では、全国支持率でバイデン氏が57%、トランプ大統領が41%で、差は16ポイントに拡大した。

選挙戦略上重要となる激戦州(ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州、フロリダ州、アリゾナ州)での支持率平均値(リアル・クリア・ポリティクス)でも、10月1日時点でバイデン氏が3.7ポイント差でリードしていたが、6日時点ではその差が4.4ポイントに広がった。

これらを見ると、感染がトランプ大統領のプラスに働いたという兆候はない。今のところ、トランプ流の“強さ”アピールは空回りしているようにも見える。しかし、ワシントン・ポストは専門家の見解として、トランプ大統領の容体をめぐる情報の変化があまりに激しいため、世論調査で最新情勢すべてを反映するのは難しい、と指摘。有権者もあまりに情報が多く、判断しづらい状況にあるとした上で、情勢はいつ変わっても不思議ではない、と分析している。

巻き返しに向けて、これまでに増して過激な行動を取る可能性も指摘されるトランプ大統領。その次の一手はどのようなものか・・・目が離せない展開だ。

【執筆:FNNワシントン支局 瀬島隆太郎】