田久保眞紀 市長の学歴詐称問題をめぐり、伊東市議会は9月1日、市長に対する不信任決議案を全会一致で可決しました。
伊東市の田久保眞紀 市長は、市が発行した広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記載しながらも実際には除籍だったことがわかっていて、本人もこの事実を認めています。
これを受け、市議会では地方自治法に基づき強い調査権限を持つ百条委員会を設置し、広報誌の発行に関わる事務手続きなどについて調べた結果、8月29日に「市の広報誌に虚偽の事項が掲載された件は田久保眞紀 氏による不当行為があったことがもっぱらの原因であると判定する」とした上で、東洋大学に対して行った文書照会の回答や提出された記録、証人の証言などを基に、「田久保眞紀 氏が繰り返し強く主張していた『6月28日に初めて除籍、卒業していないという事実を知った』という点は虚偽と判定する。『大学を卒業していたと勘違いしていた』とする主張については到底成立し得ないという結論に至っている。通常の常識を持ってすれば勘違いが起こり得る状況ではなかった」との結論をまとめました。
こうした中、9月1日に開会した9月定例会では市議8人の連名で田久保市長に対する不信任決議案が提出されました。
不信任決議案では、田久保市長について「自身の進退については、辞職の意向を示した後に2度にわたりその時期を示唆するも、これを軽々しく撤回するなど、このような市長としての職責や発言の重みを全く理解していない朝令暮改とも言える数々の言動により、多くの市民を困惑させ続け、今もなお市政を混乱させており、現に一連の騒動を原因として補正予算の編成が大幅に遅れることで、市民生活に影響を及ぼす事態に至るなど、市政の停滞が如実に現れていることから、その責任は重大であるとともに言語道断であると言わざるを得ない」と記し、「自身が疑念を持たれている不都合な事案に関しては、一切の説明責任を果たすことなく、法律解釈論を盾に強弁し自己保身に終始するなど、誠実さのかけらもないと言わざるを得ない態度であり、公人の振る舞いとしてふさわしくないという表現では足りず、市や市民全体を対象として、公平・公正を保ちながら、公益を優先した姿勢を担えるだけの判断力があるとは思えない」と指摘しています。
その上で「市長が辞職を撤回して続投しなければならないといった理由はなく、田久保眞紀 氏が市長である必要性や正当性の根拠はどこにもないことは明白である上、もはや本市の負の象徴として全国的に評判となってしまった田久保眞紀 市長が伊東市長であり続ける限り、基幹産業たる観光業、ひいては市民生活に暗い影を落とし続けることを危惧せざるを得ない」と糾弾し、「市政の健全性を一刻でも早く回復させ、行政機能の正常化を図るために、田久保眞紀 市長に対し即刻、辞職を求めるものである。よって、本市議会は、田久保眞紀 伊東市長を信任しない」と結びました。
討論では「自己利益や保身に終始するあまり、破綻した考えに至る田久保市長には伊東市トップの職責を任せることはできない」「市長が辞める以外にこの混乱に終止符は打てない」「共に市政を前に進めていくことは困難」といった賛成意見が相次ぎ、採決の結果、全会一致で可決しました。
地方自治法の規定により、田久保市長は10日以内に議会を解散しなければ失職となるため、その判断が注目されています。
不信任決議案の可決を受け田久保市長は「市民のみなさまには大変なご心配とご迷惑をおかけしていること、改めましてこの場をお借りして謝罪したいと思います」と詫びた上で、「議会に決定に関してましては受け止めさせていただいた。内容も承りましたので、そちらについて検討してまいります」とだけ述べ、質問を打ち切りました。