27日、三菱商事の洋上風力発電事業からの撤退についてのニュースをお伝えしました。
フジテレビ・智田裕一解説副委員長と見ていきます。

宮司愛海キャスター:
結構波紋が広がっているようですが。

智田裕一解説副委員長:
国のエネルギー戦略に大きな打撃を与える可能性のある重大な事態だと受け止めが広がっています。

なぜ重大な事態といえるか詳しく見ていくと、まずは太陽光などの再生可能エネルギーの中でも政府が今、力を入れているのが洋上風力発電で、風車を海の上に設置して電力を確保していこうということです。

その洋上風力の設置が計画されていたのが、秋田県の2つの海域と千葉県の海域です。

この3つ全ての撤退を今回表明しましたが、その撤退の理由について三菱商事の中西社長は会見で、資材の高騰により入札時の見込みよりも建設費用が2倍以上の水準まで膨らんだと説明しました。

さらに、30年間にわたる総収入よりも総支出が大きく、何千億円を投資したとしてもマイナスのリターンで、民間企業がそのリスクをとれるものではないと判断したということです。

宮司愛海キャスター:
今後への影響も大きいように思いますが、関係者の皆さんにはどのように受け止めていますか。

智田裕一解説副委員長:
電力業界の関係者はかなり厳しい課題が突きつけられることになったと危機感を募らせています。政府関係者もまず今回、なぜ撤退に至ったのかということをきちんと検証していかなきゃいけないと事態を重く受け止めています。

次にエネルギーの割合について。

2025年2月に改訂されたエネルギー計画では、現在、日本のエネルギー需給を見直して再生可能エネルギーを約2割から、2040年には4~5割に増加させたいということです。

その中の柱である風力発電というのは、2023年の1.1%から、約4~8%に増やしたいという話です。

その風力増加計画の最初の計画が、今回の三菱商事が入札した秋田県と千葉県の3つの海域での洋上風力発電だったということです。

青井実キャスター:
今回の計画の撤退の見直しで厳しくなったということですか?

智田裕一解説副委員長:
平地で太陽光発電所を作るのは限界があるという中で、洋上風力は海の上で安定して電源が得られるということで頼みの綱と位置付けられていた。ここが大きく揺らぐことになったので、今回の事態でコストが増える中で事業者の撤退をどう防ぐかという課題が1つ。もう1つは脱炭素に向けた戦略をどう立て直すかと。これはさらに大きな課題なんですが、これを考えなきゃいけない局面になったということです。

宮司愛海キャスター:
検証しなくてはいけないことがたくさんあるという印象ですが、私たちの生活への影響も見ていきましょう。現在、再エネの賦課金というのが、月々の電気料金に平均的な家庭で1592円加算されているわけですが、この撤退によってさらに電気料金が値上がりする可能性はあるんでしょうか?

智田裕一解説副委員長:
今回の撤退を受けた再応募で、高い売電価格が提示されて落札されて電気料金への上乗せ分が増えていくと利用者の負担増となる可能性はありますが、そもそも今の入札の仕組みは物の値段が上がっていくインフレの反映が難しいという仕組みになっているんですね。この仕組みを見直すことになると思うので、この仕組みをどう見直すかにより電気料金がどう左右するかにつながっていくと思います。

宮司愛海キャスター:
まだ分からないということですね。金子さん、今回の撤退かなり影響も大きそうですがどう見ていますか?

SPキャスター・金子恵美氏:
三菱商事としても苦肉の策で損切りするという経営判断をしたと思いますが、かなりの投資をしてこけたというのは、会社としてももちろん大きな損失であると同時に、国としても経産省としてもパートナーとしてやってきたので国としての打撃も大きい。いずれにしても安定供給がエネルギーは大事なので、これから増えていく中でどう安定供給をするのかコストも含めて、エネルギーミックスを考えていかないといけないですよね。

青井実キャスター:
今回の撤退によって今後、日本のエネルギー計画どうしていけばいいですか?

智田裕一解説副委員長:
洋上風力をさらに普及させていくとなると、電力をクリーンエネルギーで調達しようとしている日本にあるアメリカなどの企業に直接売るということもありますし、再エネ全体で考えると、洋上風力に頼らずに高効率の太陽電池とか蓄電池とか地熱とかに普及を進める必要があるかもしれません。