連日クマの出没が相次いでいる北海道南部の江差町で、駆除の訓練が行われた。
一方で北海道猟友会は、市街地での猟銃の使用でハンターが刑事責任を問われる事態を懸念している。
相次ぐクマの目撃―
道路を横切る親子とみられる2頭のクマ。
8月27日午前11時ごろ、北海道南部の上ノ国町で撮影された映像だ。

クマ被害相次ぐ江差町で駆除訓練実施
その隣町の江差町では、クマの駆除の訓練が行われた。
これまで市街地では、警察が命じた場合などを除き猟銃の使用は原則禁止。
法律の改正により9月からは市町村の判断で発砲が可能となる。

訓練には町や警察、ハンターなどあわせて32人が参加して連携を確認した。
発砲を許可する腕章が町からハンターに渡され、訓練では模擬銃が使われた。
「どういう手順や判断が必要かを机上訓練で確認し、実地訓練で発砲に至るまでをできた」(桧山振興局 環境生活課 田中敏明課長)
クマが市街地に出没して人を襲ったり、農作物を食い荒らしたりするケースが相次いでいる。

駆除新制度に猟友会からは懸念の声
そんな中で9月から新しい制度での駆除が始まるが、北海道猟友会は人身事故が発生した場合にハンターが刑事責任を問われる懸念があるとして、北海道とともに環境省に見解を求めている。
「自らの危険も感じながら協力した中で、きちんと保障してほしいというのは当然のことだと思う。(環境省から)どんな回答になるのか、猟友会と注視している」(鈴木直道北海道知事)
環境省によると、周囲の安全確保など法律に定められた条件を満たした上で市町村が発砲を許可した場合は「基本的にハンターの刑事責任は問われないと考えられる」としている。

ただ、北海道猟友会は明確でない部分もあると懸念している。
「ハンターの保障がされない場合、(発砲を)断ることもあり得る」(北海道猟友会 堀江篤会長)
北海道猟友会は市町村から発砲を要請されても拒否できると全71支部に通知することを検討している。
