震災で傾いた福島市の康善寺本堂を救うため、建物をまるごと移動させる「曳舞」という伝統工法が行われている。総重量約100トンの建造物を3日間で24メートル動かすという驚きの技術に迫る。

本堂をまるごと移動

本堂の修復工事が行われているのは、福島市の康善寺(こうぜんじ)。2011年の東日本大震災と2022年の福島県沖地震で、本堂が傾き倒壊の危険性が懸念されてきた。
2025年8月19日から始まったのは「曳舞(ひきまい)」と呼ばれる工事。建物の基礎を修復するため、レールと滑車を使って本堂をまるごと境内まで水平に移動させる。

本堂の下に敷かれたレール
本堂の下に敷かれたレール
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工事を行う株式会社カナメの小池友秋さんは「作業はかなり繊細。やはり、ゆがみをなく均等に建物を上げて、基礎と柱を離すということが重要な部分。そこから上げたものを徐々に前に曳いてくる。それもバランスを崩してしまっては、倒壊の可能性がありますから」と語る。

24mの大移動 1週間で完了

本堂の総重量は約100トン。初日は、慎重に作業を進め2時間で約3m前進した。株式会社カナメの荒川健一さんは「初めて曳くときは調整が必要。基本的には初日に予定していた3分の1程度進んだので順調」と話す。26日までの1週間で約24m移動が完了した。

慎重に作業が進む
慎重に作業が進む

全体の工事は、基礎工事や屋根の葺き替え作業を経て2026年12月に完了する予定。
(福島テレビ)

福島テレビ
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