「世界三大珍味」の1つとして知られる高級食材「トリュフ」が、京都御苑や兵庫県の牧場など関西の各地で発見されていた。
高級食材が近い将来、気軽に食卓に並ぶかもしれない!

■世界三大珍味のひとつ高級食材「トリュフ」
芳醇な香りを放つ高級食材「トリュフ」。
世界三大珍味のひとつで、高いものでは100グラムあたり数万円するものも。
こちらの店では、海外から輸入した新鮮なトリュフを贅沢に使ったコース料理を提供している。
ディレクターリポート:お肉に負けないぐらいトリュフの香りが強くて、めちゃくちゃおいしいです。
濃厚で上品な香りを放ち、希少価値の高いトリュフ。
その一種がここ関西でも見つかったというのだ。

■京都御苑で白トリュフの一種を発見 成熟前で「においなし」
40年以上キノコの観察を行っている佐野修治さん。京都御苑で50年続く「キノコ観察会」で講師をしている。
京都御苑きのこ会 佐野修治さん:キノコは樹木の代弁者と僕は言っています。
御苑内では、動植物などの採取が禁止されているため、参加者たちは、自然発生しているキノコを傷つけないよう静かに観察。
これまでに400種類以上のキノコが確認されている。
参加者:ここにもキノコ発見!
そしてことし6月、この会の参加者が見つけたのが…。
京都御苑きのこ会 佐野修治さん:これです、白トリュフの仲間として発見されたときの標本。どう見ても石ころにしか見えません。
これはトリュフの中でも珍しい、白トリュフの一種「チャセイヨウショウロ」。
直径2センチほどのものが3つ見つかったのだ。
京都御苑きのこ会 佐野修治さん:やったと思いましたね。残念ながらトリュフの独特のにおいは成熟しないと出ないので、採取したときは、においはまだ出ていませんでした。

特別な許可を得て採取し、研究機関にDNA解析を依頼すると、白トリュフの一種と特定することができた。
京都御苑きのこ会 佐野修治さん:(京都御苑の)自然の豊かさを十分感じられる大切な発見だった。菌糸と言われるキノコ(トリュフ)の本当の体は、地面の中で、御苑の塀を超えて色んなところに広がっているはず。そういうロマンを感じてほしい。
実はこうした事例は日本各地で確認されていて、去年、東京都内の観光スポット高尾山でも、掃除中に偶然見つかったという2センチほどの黒トリュフ。
100グラム数千円ほどの価値があるものだという。

■野球ボールより少し小さい白い塊 兵庫・三木市でも発見
さらに兵庫県三木市の牧場では過去数回、“白トリュフ”が発見されたという。
西山牧場 西山農代表:学名的にはホンセイヨウショウロっていうやつが、採れました。
これが発見された白トリュフの一種、ホンセイヨウショウロ。
実際に発見した場所に案内してもらうと、草に囲まれた木の根元に発生していたという。
最初にこの場所で“白トリュフ”を発見したのは、今からおよそ9年前の2016年11月だった。
西山牧場 西山農代表:土に埋まっていて、大きくなっていたので3分の1ほどが出ていた。僕が草刈り作業をしていて『これなんやろう』と思って、顔を近づけたら、ものすごく熟成されたゴーダチーズのような、ものすごい濃ゆい、いい匂いだったんですよ。
野球ボールより少し小さい白い塊から良い香りが…。
「まさか…」と思い、キノコの研究者に持ち込んだという。

■発生したトリュフを「思いっきり」かけてみた 計3回収穫
その結果、白トリュフの一種ホンセイヨウショウロと判明!やはり「食べたい!」という思いが…。
西山牧場 西山農代表:(研究者は)『食べられるよっていう表現はできない』ということで、『食用として用いることは可能』という表現でお答えいただいたので、『じゃ食べますよ』っていって、『いやいや、食用として用いることは可能です』って言われました。
西山さんは牧場の人気メニューのマルゲリータに、トリュフをたっぷ~りかけて食べたということだ。
西山牧場 西山農代表:もう本当に香りが『ぶぁ~」と立つ感じ。口の中にいれても『うわぁ~』という感じ。
2年に1度ほどのペースで、計3回収穫することができた。
(Q.商売とか頭によぎらなかった?)
西山牧場 西山農代表:よぎりました。この場所も、あまり他の方には、知られないようにしなければいけないとか…。残念なことに、そういうふうに考えだしたら、木がだめになってしまったっていう…。
残念ながらおよそ4年前から“白トリュフ”が発生することはなくなってしまった。

■「スーパーでリュフが山積み」に!? 国内で進む人工栽培の研究
私たちの身近な場所に発生しているかもしれないトリュフ。
実は、国内で「人工栽培」に向けた研究が進んでいる。
森林総合研究所では、2015年にプロジェクトを開始。
そこから7年…2022年に全国4カ所の試験地のうち、茨城県と京都府の2カ所で白トリュフの一種、「ホンセイヨウショウロ」を人工的に発生させることに成功した。
森林総合研究所東北支所 山中高史支所長:日本の白いトリュフに関しても、芳醇な香りがします。ヨーロッパと日本の白トリュフが全く同じ香りといったら、種類が違う以上、多少香りも違いますので、そのあたりはちゃんと伝えないといけない。我々が食べてるかというと当然、食べてないので大事な研究材料ですから…。
そして、ここから目指すのが安定的な人工栽培だが…。
森林総合研究所東北支所 山中高史支所長:トリュフに関しては、土の中で菌糸を広げないといけないですけど、どういう条件で育つのかは、全く我々も分かっていないので、まだクリアしないといけない研究・技術的要素がまだある。
人工栽培が現実となれば、身近な食材となるのだろうか?
森林総合研究所東北支所 山中高史支所長:我々の最終的な目標は、スーパーとかでトリュフが山積みされて、それを皆さんが手に取る、そういうことに将来的にしたい。
高級食材の「トリュフ」!近い将来、手軽に食卓に並ぶ日がくるかもしれない!
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月19日放送)
